勝光

Katsumitsu (Ukyo-no-suke)

評価作品12点

特重巻 28, 番 17 · 刀

概要

文明十六年二月の年紀に大振りの長銘「備前国住長船右京亮勝光」を切り、棒樋の下に「天下泰平国土安穏」「冨貴萬福皆令満足」の祈念の文字を陰刻した刀が、本工の作中ただ一口特別重要刀剣に指定されたものである。勝光は末備前と称される室町中後期の長船鍛冶を代表する名の一つで、説明書は室町中期以後に勝光と銘する者が十数工あるとする。銘鑑は銘に俗名を冠する者を挙げ、なかでも右京亮勝光とその子次郎左衛門尉を著名とする。この記録の作者である右京亮について、説明書は「右京亮と銘するものは次郎左衛門尉よりは先輩であり」、左京進宗光の兄にあたり、「末備前中でも技術が優れている」と記す。

本工の典型は末備前の複式互の目を、丁子を交えて一段と高く明るく焼くところにある。説明書は、勝光の作風は末備前特有の複式互の目が多いが、他の末備前の諸工に比して「乱れの中に丁子を多く交えた一段と華やかな出来を得意としている」とする。特別重要刀剣の刀は腰の開いた互の目・丁子・小互の目・小丁子を交え、足・葉よく入り、匂勝ちに小沸つき、湯走り交え、匂口明るく、説明書はこれを「末備前の作中勝光の典型的な作風を示している」と読む。文明十年紀の単独作の刀は焼高く丁子・小丁子・尖り刃を交え、金筋・砂流しかかり、下半に小さな飛焼が入る。

地鉄は小板目、あるいは板目に杢を交えてよくつみ、処々流れごころとなり、地沸つき、文明十年紀の刀では地沸が微塵につき、地景細かに入る。その上には多くの作で乱れ映りが立つ。文明十八年紀の宗光との合作脇指について、説明書は「同時期の備前物に比して乱れ映りが鮮明で、刃文は丁子が目立って変化に富んでいる」とする。帽子は乱れ込んで小丸あるいは尖りごころに返る。表裏には一派の信仰の彫物があり、棒樋を丸止めとしてその下に梵字、倶利迦羅、三鈷付剣、八幡大菩薩の神号を施し、説明書はこれを専属の彫物師の手とする。姿は室町後期の片手打の打刀で、身幅広く重ね厚く先反りつき、茎短く尻が張る。

その記録の大半は合作である。協会の指定を受けた十口のうち八口が合作で、うち七口は弟左京進宗光とのもの、両名を二行に切り分け、多くは文明年間の年紀がある。その数口は長船を離れ、備中草壁と備前児嶋で打たれた。その記録の外にも草壁打が二口ある。文明十八年紀の刀は小沸出来の互の目に丁子を交え、重要美術品に認定されており、説明書は両人をともに六郎左衛門祐光の子として、その合作は比較的多く見られるとし、「本刀はその代表作である」と記す。文明十九年紀の脇指は板目に互の目・丁子交りの刃文を焼き、重要文化財に指定されている。児嶋打の脇指について説明書は、「彼らの動向を知る上において一助となる貴重な資料である」とする。また勝光・宗光の合作は決して珍しいものではないが、「両工とも技術が優れており、従って愛刀家の最も珍重するところである」という。文明十六年紀の一刀は彦兵衛忠光を加えた三人合作で、説明書は「忠光を加えた合作刀は他に殆んど見たことがない」と記す。

丁子の多い互の目と並んで、本工は直刃を基調とする穏やかな刃も焼き、説明書はこれを忠光の作に比している。三人合作の刀は直刃調に小互の目を交え、足・葉入り、砂流し・金筋かかる。文明十六年紀の児嶋打の脇指は直刃を基調に処々浅くのたれ、ほつれ、細かに砂流しかかり、説明書はこれを「忠光などによく見られる作柄である」とする。同年に宗光と児嶋で打った刀は僅かに互の目交じりの直刃に小沸がつき、帽子は直ぐに先丸く返り、「出来のよさも然る事ながら、銘文の資料価値も高い」とされる。宗光とのいま一口の合作刀は小板目のよく約んだ綺麗な地がねに中直刃を焼いて小足を交え、匂口しまり、腰に素剣・梵字を彫り、説明書は「当時の打刀として典型的且つ代表的な出来である」とする。文明十一年紀の短刀は五郎左衛門尉則光との合作で、則光七十四歳の晩年に当たり、身幅広めで大きく寸延び、重ね極めて厚く内反り強い。中直刃に小互の目ごころを交えて小沸よくつき匂口明るく冴え、説明書は「一脈、同派の忠光に相通じる作域で」優れた出来映えを見せるとする。

国宝はなく、重要文化財は栃木の東照宮に蔵されるこの草壁打の脇指一口である。日本美術刀剣保存協会の記録は特別重要刀剣一口と重要刀剣九口で、いずれも在銘・年紀入り、その多くは文明年間のものであり、藤代の評価は最上作である。第七回で重要刀剣に指定された特別重要刀剣の刀は、当時としては頑健な姿態を示した稀少な作で、「勝光の出色の出来栄えを示した秀逸な一口である」と評される。その祈念の文字は「他に類がなく、特別の注文によるものであろう」とされ、後世これを模したものがある。文明十一年紀の短刀には石黒政美の小さ刀拵が添い、家紋が示す通り大久保家の伝来である。これらの外、蒐集家が現実に出会い得るのは重要刀剣の諸作であり、在銘年紀ある勝光が市場に出るのは時折のことである。

歴史的重要度

勝光の位置づけを、日本刀全体および伝法・時代・時期ごとに示します。各区分(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。

随一
随一
屈指
屈指
有数
有数
著名
著名

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指定

国宝—
重要文化財1
重要美術品1
御物—
特別重要刀剣1
重要刀剣9

名工ランク

鑑定

年紀作

伝来

刀種

評価作品12点の分布

銘

評価作品12点の銘の種類

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