宇多國宗は室町時代の越中国を代表する刀工で、今日見る國宗の多くは文明、天文、天正、即ち戦国時代の作である。ところが、極めて稀ながら時代の上がる國宗の作もあり、表題の短刀こそその典型。当時の宇多派の中心的刀工は國宗の兄國房で、國宗は専らその向鎚を勤めていたために遺作が尠ないと考えられている(注1)。 この短刀は作例の少ない応永國宗の、貴重この上ない一口。身幅の割に寸が延び、棟を真に仕立て、重ね尋常で内反りが僅かに付いた端正で美しい姿。地鉄はこの短刀の最大の見どころ。板目にうねるような柾目を交えて肌起ち、太く細くと地景が濃密に入り、銀砂のような地沸が光に照らされて一粒一粒が輝き、沸映りが鮮やかに立つ。僅か九寸弱ながら、その地面に展開されている景色は奥深く実に味わい深い。刃文は蜘蛛の糸を想わせる繊細な細直刃。淡雪のような沸で刃縁が引き締まり、小形の湯走りが掛かり、処々ほつれ、刃中は匂で澄む。帽子は小丸に返る。茎の保存状態は良好で、銘形、特に「宇」と「宗」の字は應永十三年十二月日紀の宇多國宗の短刀(注2)の銘字によく似ている。応永國宗の実力が遺憾なく発揮された、小品ながら古刀特有の豊かな地刃の働きが堪能できる優品である。 注1...藤代義雄氏は「作品が少ないのは、兄國房に協力のためであろう」と述べている(『日本刀工辞典 古刀篇』)。 注2...藤代版『日本刀工辞典 古刀篇』所載。






脇物 · 越中 · 1394-1428頃
刀剣大鑑 上位37%
現在1点販売中
國宗の位置づけを、日本刀全体および伝統・時代・時期ごとに示します。各位(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。
各項目を選ぶと評価方法が表示されます。
脇物 · 越中
時期区分: 宇多· 1390–1596
現在35点販売中
古宇多が南北朝期までの草創を画したのに対し、本区分はその後を承けて室町時代を通じて継続した越中宇多派を扱う。説示によれば、宇多派は鎌倉時代末期の文保頃、大和国宇陀郡から越中に移住した古入道国光を祖とし、南北朝期の国房・国宗・国次らを承けて、同名相継ぎながら室町時代末期に亘って栄えた。南北朝期を降らぬ作を古宇多と呼ぶのに対し、その後のものを宇多と汎称しており、本区分はまさにこの後者にあたる。応永を最古とする国久、初代国光の子と伝える国宗の系、永享から天正に及ぶ国長、永享・永正の国吉、天文頃の平国・真国、さらに国清・友久ら、国の字を冠す諸工が代を重ねて活躍した。元来が大和宇陀郡の出自であるため大和気質を色濃く残しつつ、越中の先達則重や江に倣った相州伝風をも併せ持つのが、北国に根を下ろしたこの一派の地盤である。 後代宇多の作風は、板目に杢を交えて総体に肌立ち、地沸がつき地景が入る鍛えに、かねが黒みをおびて淡く白け映りの立つ点に北国の地方色が顕著に表れる。刃文は中直刃調に小互の目を連れ、小のたれや小尖り刃を交え、匂勝ちに小沸がつき、つぶらな沸を交えて金筋・砂流しがかかり、帽子は先尖りごころに小丸となって長く返るものが多い。応永頃の国久・友久のように小板目がよく錬れて精美に詰み、地刃明るく冴える優品がある一方、室町期に降るにつれて作は定型化し、身幅の割に寸の延びた短刀姿や先反りのつく姿など室町の体配を示すようになる。平国や国長には飛焼・湯走りを交えてやや皆焼状を呈し、覇気迫力に富む作もみえる。総じて、古宇多が相州上工に紛れんばかりの古色と変化を見せたのに対し、後代は肌立ちがやや粗くなり、北陸物らしい黒みのある鉄色が一段と地方色を強める点に差がある。 後代宇多を古宇多と分かつ鑑定の要点は、説示が古色の有無に置く。古宇多が来国光・国次に紛れんばかりの精良さと激しい働きを見せるのに対し、後代は地鉄の黒みと白け映り、肌立ちごころの鍛えに地方色が強まり、茎先の張る茎仕立や国の字の銘振りに見処があるとされる。主要工としては、応永頃の国久・友久を上工とし、国宗・国次・国房はそれぞれ代を重ね、文明・天文の年紀を有する作も存して時代の指標となる。能州笠師に移った国長のように、信国に通う作風を示す傍系もみえる。在銘作は比較的稀で、無銘極めや諸国に伝来した作によって同派の広がりが知られ、富山をはじめ北陸ゆかりの伝来を持つものが少なくない。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト弊社の過失により、本来の状態と著しく異なる場合には商品の返品が可能です。クーリングオフは商品到着後一週間以内です。
宇多國宗は室町時代の越中国を代表する刀工で、今日見る國宗の多くは文明、天文、天正、即ち戦国時代の作である。ところが、極めて稀ながら時代の上がる國宗の作もあり、表題の短刀こそその典型。当時の宇多派の中心的刀工は國宗の兄國房で、國宗は専らその向鎚を勤めていたために遺作が尠ないと考えられている(注1)。 この短刀は作例の少ない応永國宗の、貴重この上ない一口。身幅の割に寸が延び、棟を真に仕立て、重ね尋常で内反りが僅かに付いた端正で美しい姿。地鉄はこの短刀の最大の見どころ。板目にうねるような柾目を交えて肌起ち、太く細くと地景が濃密に入り、銀砂のような地沸が光に照らされて一粒一粒が輝き、沸映りが鮮やかに立つ。僅か九寸弱ながら、その地面に展開されている景色は奥深く実に味わい深い。刃文は蜘蛛の糸を想わせる繊細な細直刃。淡雪のような沸で刃縁が引き締まり、小形の湯走りが掛かり、処々ほつれ、刃中は匂で澄む。帽子は小丸に返る。茎の保存状態は良好で、銘形、特に「宇」と「宗」の字は應永十三年十二月日紀の宇多國宗の短刀(注2)の銘字によく似ている。応永國宗の実力が遺憾なく発揮された、小品ながら古刀特有の豊かな地刃の働きが堪能できる優品である。 注1...藤代義雄氏は「作品が少ないのは、兄國房に協力のためであろう」と述べている(『日本刀工辞典 古刀篇』)。 注2...藤代版『日本刀工辞典 古刀篇』所載。






脇物 · 越中 · 1394-1428頃
刀剣大鑑 上位37%
現在1点販売中
國宗の位置づけを、日本刀全体および伝統・時代・時期ごとに示します。各位(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。
各項目を選ぶと評価方法が表示されます。
脇物 · 越中
時期区分: 宇多· 1390–1596
現在35点販売中
古宇多が南北朝期までの草創を画したのに対し、本区分はその後を承けて室町時代を通じて継続した越中宇多派を扱う。説示によれば、宇多派は鎌倉時代末期の文保頃、大和国宇陀郡から越中に移住した古入道国光を祖とし、南北朝期の国房・国宗・国次らを承けて、同名相継ぎながら室町時代末期に亘って栄えた。南北朝期を降らぬ作を古宇多と呼ぶのに対し、その後のものを宇多と汎称しており、本区分はまさにこの後者にあたる。応永を最古とする国久、初代国光の子と伝える国宗の系、永享から天正に及ぶ国長、永享・永正の国吉、天文頃の平国・真国、さらに国清・友久ら、国の字を冠す諸工が代を重ねて活躍した。元来が大和宇陀郡の出自であるため大和気質を色濃く残しつつ、越中の先達則重や江に倣った相州伝風をも併せ持つのが、北国に根を下ろしたこの一派の地盤である。 後代宇多の作風は、板目に杢を交えて総体に肌立ち、地沸がつき地景が入る鍛えに、かねが黒みをおびて淡く白け映りの立つ点に北国の地方色が顕著に表れる。刃文は中直刃調に小互の目を連れ、小のたれや小尖り刃を交え、匂勝ちに小沸がつき、つぶらな沸を交えて金筋・砂流しがかかり、帽子は先尖りごころに小丸となって長く返るものが多い。応永頃の国久・友久のように小板目がよく錬れて精美に詰み、地刃明るく冴える優品がある一方、室町期に降るにつれて作は定型化し、身幅の割に寸の延びた短刀姿や先反りのつく姿など室町の体配を示すようになる。平国や国長には飛焼・湯走りを交えてやや皆焼状を呈し、覇気迫力に富む作もみえる。総じて、古宇多が相州上工に紛れんばかりの古色と変化を見せたのに対し、後代は肌立ちがやや粗くなり、北陸物らしい黒みのある鉄色が一段と地方色を強める点に差がある。 後代宇多を古宇多と分かつ鑑定の要点は、説示が古色の有無に置く。古宇多が来国光・国次に紛れんばかりの精良さと激しい働きを見せるのに対し、後代は地鉄の黒みと白け映り、肌立ちごころの鍛えに地方色が強まり、茎先の張る茎仕立や国の字の銘振りに見処があるとされる。主要工としては、応永頃の国久・友久を上工とし、国宗・国次・国房はそれぞれ代を重ね、文明・天文の年紀を有する作も存して時代の指標となる。能州笠師に移った国長のように、信国に通う作風を示す傍系もみえる。在銘作は比較的稀で、無銘極めや諸国に伝来した作によって同派の広がりが知られ、富山をはじめ北陸ゆかりの伝来を持つものが少なくない。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト弊社の過失により、本来の状態と著しく異なる場合には商品の返品が可能です。クーリングオフは商品到着後一週間以内です。