説明

<audio controls preload="auto"> <source src="clocktowerbell.mp3" type="audio/mpeg" /> </audio> (Kan'ei era, During the Edo period, under the rule of the third shogun, Tokugawa Iemitsu) 地刃の出来がどこか備中青江を想起させる大磨上無銘の良刀。かつては二尺五寸を超える長さがあったとみられ、身幅と重ねは尋常で、適度に反りが付いて中鋒に造り込まれ、今尚、元来の伸びやかで美しい体配を偲ばせている。小板目鍛えの地鉄は刃寄りに柾、僅かに澄肌を交えて詰み、地沸が微塵に付いて鉄色が明るく、映りが鮮明に起つ。直刃の刃文は、煌めく沸の粒子が密集して刃縁が締まりごころに明るく、刃境に湯走り、金線、沸筋が絡み合って喰い違いごころを呈し、物打辺りに小足が入り、帽子も突き上げて小丸に返り、青江を想わせる構成。幕政時代には青江として伝来したものであろうか。子細に見ると、差裏の鎬地と棟の境目の線上に三か所、飛来する矢を払った跡のような傷があり、また匂で澄明に締まった刃中の冴え味は刃味の良さを想像させ、この一刀を腰に敵に相対した武士の姿が念頭に浮かんで来る。ごく僅かに観察される節状の小さな尖った刃から寛永頃の豊後国高田統行(たかだ むねゆき)一門の作とみて保存刀剣鑑定書が付されている。高田刀工は古刀期には名工平長盛とその一門が戦国大名大友氏に仕えた。そして江戸時代には平姓ではなく藤原姓を用いており、それ故、新刀期の高田を藤原高田と呼ぶのが一般的である。(商品番号1740)

大磨上無銘 藤原高田

大磨上無銘 藤原高田

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仕様

長さ

67.7 cm

反り

1.5 cm

元幅

2.9 cm

先幅

1.97 cm

流派について

Takada School高田派

豊後国の高田派は、同国高田荘の地名を負う一門で、鎌倉初期に定秀・行平らの名工を出した九州刀の伝統が一時跡絶えた後、南北朝時代に友行が同地に現れて再興した鍛冶集団である。説示は友行をもって高田鍛冶の祖とし、現存する年紀作に貞治・正平の年号を伝える点を挙げる。友行のほか、その子あるいは門人と伝える時行が著名で、別系と思われる行政には建徳二年紀の短刀がある。南北朝期の作には「藤原」を冠し、室町期以降は「平」を銘じて「盛」「守」「鎮」「統」などを通字とし、これらを総じて平高田と汎称する。さらに末期に至って再び「藤原」を冠するようになり、江戸期以降もこれを踏襲して藤原高田と呼び習わされ区分される。この間に長盛・竪守・鎮教・鎮清・鎮正らを輩出し、鎮正の門からは伊予宇和島に移った国房が出て新刀期へと繋がるなど、室町後期から江戸期に及ぶ長い系譜を形づくった。 作風は説示の記すところ多彩で、一様には括れない。鍛えは板目に杢を交え、総じて肌立ちごころとなり、柾に流れる態を見せて、地沸つき地景入り、白気映りや乱れ映りが立つものが多い。刃文は直刃を基調とするものから、小互の目や角ばる互の目を交えて乱れるもの、腰の開いた複式風で末備前を彷彿とさせるもの、さらに皆焼に及ぶものまで幅がある。祖の友行は同時代の左文字一類に近似するが、刃中に角ばる互の目が間遠に連れ、地に白けが強く地斑を交える点が見どころとされる。室町期の作の多くに共通する要所として、刃中に針の先で突いたような固い葉が入ることが従来指摘されており、系統と時代の判別に資する。姿形は室町中期頃までは反りが深くついて反らせたものが多く、末期は身幅広めで反りが幾分浅く、中鋒が延びて時代を映した頑健な造込みとなる。行政の作のように、鍛えが大きく流れて古典色が濃く、櫃中に行平を踏襲した倶利迦羅の浮彫を施す例もみられる。 伝承の上では、高田物は実用刀として広く行き渡った一方、斯界の評価は決して高くないとされてきた。説示はその傾向を踏まえつつ、地刃に破綻なく締まりごころとなり、来国行を参考にしたとも言えるほどの出来を示す鎮教や、地鉄精良で匂口冴える鎮清の作をもって面目を挽回する出色の一口と評し、平高田中で最も技倆に優れ直刃を得意とした長盛を一派の代表として挙げる。伝来を備える品も少なくなく、行政の短刀は庄内酒井家に伝わって本阿弥光忠の折紙を添え、鎮教には黒田家の重宝となり享保名物追記に載る権藤鎮教の長刀があり、長盛の脇指には島津継豊から本田親章へ拝領された切付銘を持つものがある。中世豊後刀工の作域を今に伝える資料として、また実用に堪える堅牢さと九州古典派の余韻を併せ持つ一門として位置づけられる。

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