二十世紀は二度この工芸を殺しかけた。戦時の歪みと、占領下の禁令である。1948年の日刀保設立と1953年の作刀再開が刀を美術として再建し、人間国宝と無鑑査がその頂に立つ。
現代刀 銘 大和国住月山貞利(彫同作) 昭和五十四年十二月日 【解説】 月山貞利 本作は、昭和五十四年(1979年)十二月に「大和国住月山貞利」によって作刀された一振りです。貞利氏は、幕末に興った「大阪月山家」の五代目当主です。「大和国」は現在の奈良県の古称であり、「大和国住」の銘は、彼が奈良の地で作刀に励んでいたことを示しています。また、銘文には「彫同作」とあり、刀身の彫刻も自ら手掛けたことが分かります。貞利氏は現代刀剣界を代表する巨匠の一人であり、伝統技術の保存や後進の育成にも多大なる貢献を続けています。 月山貞利氏は1946年、人間国宝であった二代月山貞一の三男として大阪に生まれました。大阪工業大学で建築を学び、1969年に卒業。在学中より父の仕事に深く感銘を受け、作刀の修行を開始しました。1967年に父・貞一が「無鑑査」に認定されたことを機に、月山家の伝統を継承する決意を固めたといいます。 大学卒業と同年に文化庁の作刀承認を受け、本格的に歩み始めると、1975年には新作名刀展において最高賞である「高松宮賞」を受賞。その後も数々の栄誉に輝きました。 1982年には、現代刀匠にとって最高の名誉である「無鑑査」に認定。その作品はボストン美術館やメトロポリタン美術館にも所蔵・展示されており、その美しさは国内外の愛好家や専門家から極めて高い評価を得ています。 2003年には、奈良県指定無形文化財保持者に認定されました。 ※無鑑査刀匠とは 現代刀匠における最高位の称号の一つです。公益財団法人日本美術刀剣保存協会(日刀保)が主催する展覧会において、審査(鑑査)を受けることなく作品を出品できる資格を持つ者を指します。この称号を得るには厳格な基準をクリアする必要があり、1955年の制度開始以来、認定された刀匠はわずか39名に過ぎません。 月山伝 「月山」とは、平安時代末期にまで遡る名門の流派です。出羽国(現在の山形県)の霊峰・月山の麓で作刀が行われたことがその名の由来とされています。 大阪月山 1833年、月山貞吉が大阪にて「大阪月山」を興しました。鎌倉時代より続く名門であった月山家も、江戸時代中期には一時衰退を見せましたが、幕末の名工である貞吉の尽力により、再びその輝きを取り戻しました。 貞吉の養子である貞一(初代)と共に、月山伝の伝統的な地鉄を研究し、ついに月山家最大の特色である「綾杉肌(あやすぎはだ)」を完成させました。綾杉肌とは、地鉄に現れる波状の美しい木目模様のことで、杉の年輪に似ていることからその名がつきました。貞利氏もまた、代々受け継がれてきたこの至高の技術を完璧に掌中に収めています。 太刀拵 登録証に基づき、本作は「太刀」として製作されました。平安時代から室町時代初期にかけて、騎馬武者が甲冑を着用して片手で操るために発展した様式を伝えています。本品には、その格調高い姿に相応しい太刀拵が附随しております。
























大和 · 1926-1989頃
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昭和から現代へ 断絶と再生
二十世紀は二度この工芸を殺しかけた。戦時の歪みと、占領下の禁令である。1948年の日刀保設立と1953年の作刀再開が刀を美術として再建し、人間国宝と無鑑査がその頂に立つ。
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