鬼面 — 木彫漆塗、江戸時代後期(19世紀) 日本 ・ 江戸時代後期 ・ 19世紀 ・ 鬼面 ・ 木彫漆塗 ・ 金泥眼 ・ 神楽/狂言 ・ 等身大 江戸時代後期(19世紀)に制作された、木彫漆塗の味わい深い鬼面です。力強く彫り出された木地に、経年による落ち着いた色調の漆が施されています。 突き出た角、金泥で縁取られた眼、大きく見開いた口に黒々としたお歯黒の歯など、誇張された造形が特徴的です。単に恐ろしい怪物としてではなく、どこか愛嬌のある、いたずら好きでコミカルな超常的存在としての「鬼」の表情を見事に捉えています。 その面構えには豊かな個性が宿っています。大きく弧を描く眉が力強い眼光を縁取り、中央には存在感のある獅子鼻が突き出し、頬には深い皺が刻まれています。開かれた口中には上下二列の歯と鋭い牙が覗きます。額の上には黒漆で表現された毛髪が渦を巻き、その先には二本の湾曲した角がそびえ立っています。 本作は単なる鑑賞用の彫刻ではなく、実際に使用することを目的とした舞台用、あるいは祭礼用の面として仕立てられています。眼や鼻孔は視認と通気のために穿たれ、口の周りにも呼吸を助けるための隙間が設けられています。裏面は丁寧に刳り抜かれたのち、漆で仕上げられています。表面に残る時代を経た使用痕や古色は、現代の装飾品では決して再現し得ない、本品が歩んできた歴史と風格を物語っています。 【鬼 — 日本伝承における存在】 「鬼」は日本文化において最も広く知られた超自然的な存在です。角、牙、誇張された顔立ち、そして強靭な肉体を持つ姿で描かれ、民話や仏教説話、祭り、演劇、美術の世界に繰り返し登場します。 しかし、その性格は必ずしも「絶対的な悪」ではありません。文脈や物語によって、恐ろしい罰を与える者、危険な精霊、守護者、あるいはその奔放な振る舞いで人々を楽しませる道化役など、多面的な役割を担っています。本作はその伝統の中でも、特に躍動感あふれる側面を象徴する一品です。大きく見開かれた口と、圧倒的な存在感は……










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