黒々とした赤銅の地板の両端に、笄だった時の木瓜と蕨手の跡があからさまに残る笄直の本小柄。構造的に袖小柄に仕立て直したという以外、特筆すべき見所がないかというと、実は見所というか見落としている視点がぽろぽろと・・・鮮やか過ぎる金と黒のコントラストが目に飛び込んできます。袖から裏面にわたって本体部を哺金でぐるっと覆っています。それもかなり厚手の金板です。同じように花も厚手の金色絵。一見、袋着にも見えますが、おそらく焼き付けだと思われます。笄直の古い小柄なのに剥がれた箇所がありません。本当に古いのかと疑いの目を向けて花をよく見ると、それなりに擦り減っているではないですか。小口側の袖、その両端の切口部には欠損したかのような段差も付いています。しかし、花にも袖部の切口も金板が覆っているのです。つまり擦り減ったり欠損した後の状態に、金板を施したと考えるしかありません。こういうことですか?・・・古い笄があった。それを小柄に直した。その時か、または後世に金板を施した。現状を考慮すれば、金板を施したのはかなり後の時代になってからと思われ、江戸後期まで下ると見ています。最初にあった笄には色絵は施されてなく無赤銅で真黒だったということですね。例えるなら、魅惑的な美魔女に生まれ変わった・・・好みです。では、どれだけ古いのか。金工美濃彫(小窪健一著)にほぼ同一形状・デザインの小柄が紹介されています。時代は室町後期。所載の小柄に対し本作は笄との違いはあれ、時代の極には貴重な資料です。当店としては若干新しさを感じるデザインという点で桃山期としたいところですが、ここは小窪氏の極にも一理あるとの理由で、室町後期から桃山期との間という結論に・・・(何じゃそりゃ?と怒らないでください。美魔女に惑わされて判断が鈍っているのです。)因みに本作には箱書があって、寒山氏が画題を「桔梗紋」としています。小窪氏は「桔梗唐草の図」。そして鑑定書には「撫子唐草図」。どれが正解なのかは人それぞれの印象で良いと思いますが、花をよく観察して見ると・・・花びらの外側に少し窪んだ所作が。これは花びらがお椀のように膨らんだ形状を表現したかった? 5枚ある花びらの先端は尖ってなく、丸味を帯びているようです。さて、皆さんはどちらだと思われますか? それとも別の花を挙げられる? そんなことはどうでもいいと無視するときは、単純に秋草図ならぬ「秋花図」という案もあります。なにせ、極は古美濃ですから。その古美濃ですが、本小柄も例に漏れず鋤出彫風になっています。ただし、よ〜く見れば、紋は肉彫ではなく鑞付据紋です!

古美濃派
古刀
無銘
保存 (NBTHK)
金工 · 美濃
現在37点販売中
古美濃派は、室町時代中期から桃山時代にかけて活躍した装剣金工の一派である。後藤家とほぼ同時期に発生したとされるが、後藤家が初代祐乗以来足利将軍家に仕えたのに対し、古美濃は在野にあって、王城の文化圏を中心に独自の活動を展開した。技術的には古金工の流れを汲むものの、やがて室町時代中期に古美濃と後藤家が枝分かれし、それぞれ独特の様式を確立した。その作域は室町時代中期から桃山時代にかけて極めて長く、時代による作風の幅も広い。 古美濃の作風は、「美濃の深彫」と称される力強い彫法に特色がある。鐔・笄・小柄においては、文様の彫口が切り立ち、鋤下高肉彫による立体的な表現が際立つ。目貫の場合は、薄い地金を高低激しく彫り込み、透しの抜けが多く、打ち出しやへし込みを駆使して躍動感溢れる造形を展開する。地は赤銅魚子地や山銅魚子地を用い、金銀のうっとり色絵や象嵌色絵を施して装飾性を高める。画題は主として秋野に咲き乱れる草花を情趣豊かに表すものが多く、萩・女郎花・菊・桔梗などの秋草図が代表的である。その他、葡萄・松樹・貝尽し・藻貝・牡丹獅子・龍などが好まれ、特に美濃龍は後藤家の龍と異なり、胴体が締まり、透しが多く、宝珠を横掴みにする独特の表現で知られる。 古美濃の伝承作品は、鐔・笄・小柄・目貫などの刀装具に及ぶ。笄は細造りで棹も長く、生ぶのままの姿を保つものが多く、耳掻・蕨手・木瓜形の形状は古美濃笄の典型とされる。小柄には笄から直されたものも散見され、これらは江戸期に入ってからの工作と考えられる。目貫は金無垢地を用い、容彫で透しを多く配し、根なしや二陽根の形式で薄手に仕上げるものが特徴的である。鐔においては、木瓜形・竪丸形・菊花形など変化に富んだ形状を採り、両櫃孔の形も古格を示して力強い。文様は画面全体に鶴翼状に展開し、梅・桜・菊・葡萄・秋草などを配し、時に波頭や流水を交えて躍動飛躍の気運を盛り上げる。金うっとりの手際もよく、金の露色絵を全面に散らして装飾効果を更に豊かにしている。その清廉な雅趣と堂々とした格調は、桃山の豪快な気風を歌い、古美濃派が装剣金工の世界に吹き込んだ新風を今に伝えている。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト商品到着後7日以内、商品販売時と状態が変化していない場合適用させて頂きます。商品代金は返品確認後、ご指定口座へ速やかにご返金致します。
黒々とした赤銅の地板の両端に、笄だった時の木瓜と蕨手の跡があからさまに残る笄直の本小柄。構造的に袖小柄に仕立て直したという以外、特筆すべき見所がないかというと、実は見所というか見落としている視点がぽろぽろと・・・鮮やか過ぎる金と黒のコントラストが目に飛び込んできます。袖から裏面にわたって本体部を哺金でぐるっと覆っています。それもかなり厚手の金板です。同じように花も厚手の金色絵。一見、袋着にも見えますが、おそらく焼き付けだと思われます。笄直の古い小柄なのに剥がれた箇所がありません。本当に古いのかと疑いの目を向けて花をよく見ると、それなりに擦り減っているではないですか。小口側の袖、その両端の切口部には欠損したかのような段差も付いています。しかし、花にも袖部の切口も金板が覆っているのです。つまり擦り減ったり欠損した後の状態に、金板を施したと考えるしかありません。こういうことですか?・・・古い笄があった。それを小柄に直した。その時か、または後世に金板を施した。現状を考慮すれば、金板を施したのはかなり後の時代になってからと思われ、江戸後期まで下ると見ています。最初にあった笄には色絵は施されてなく無赤銅で真黒だったということですね。例えるなら、魅惑的な美魔女に生まれ変わった・・・好みです。では、どれだけ古いのか。金工美濃彫(小窪健一著)にほぼ同一形状・デザインの小柄が紹介されています。時代は室町後期。所載の小柄に対し本作は笄との違いはあれ、時代の極には貴重な資料です。当店としては若干新しさを感じるデザインという点で桃山期としたいところですが、ここは小窪氏の極にも一理あるとの理由で、室町後期から桃山期との間という結論に・・・(何じゃそりゃ?と怒らないでください。美魔女に惑わされて判断が鈍っているのです。)因みに本作には箱書があって、寒山氏が画題を「桔梗紋」としています。小窪氏は「桔梗唐草の図」。そして鑑定書には「撫子唐草図」。どれが正解なのかは人それぞれの印象で良いと思いますが、花をよく観察して見ると・・・花びらの外側に少し窪んだ所作が。これは花びらがお椀のように膨らんだ形状を表現したかった? 5枚ある花びらの先端は尖ってなく、丸味を帯びているようです。さて、皆さんはどちらだと思われますか? それとも別の花を挙げられる? そんなことはどうでもいいと無視するときは、単純に秋草図ならぬ「秋花図」という案もあります。なにせ、極は古美濃ですから。その古美濃ですが、本小柄も例に漏れず鋤出彫風になっています。ただし、よ〜く見れば、紋は肉彫ではなく鑞付据紋です!

古美濃派
古刀
無銘
保存 (NBTHK)
金工 · 美濃
現在37点販売中
古美濃派は、室町時代中期から桃山時代にかけて活躍した装剣金工の一派である。後藤家とほぼ同時期に発生したとされるが、後藤家が初代祐乗以来足利将軍家に仕えたのに対し、古美濃は在野にあって、王城の文化圏を中心に独自の活動を展開した。技術的には古金工の流れを汲むものの、やがて室町時代中期に古美濃と後藤家が枝分かれし、それぞれ独特の様式を確立した。その作域は室町時代中期から桃山時代にかけて極めて長く、時代による作風の幅も広い。 古美濃の作風は、「美濃の深彫」と称される力強い彫法に特色がある。鐔・笄・小柄においては、文様の彫口が切り立ち、鋤下高肉彫による立体的な表現が際立つ。目貫の場合は、薄い地金を高低激しく彫り込み、透しの抜けが多く、打ち出しやへし込みを駆使して躍動感溢れる造形を展開する。地は赤銅魚子地や山銅魚子地を用い、金銀のうっとり色絵や象嵌色絵を施して装飾性を高める。画題は主として秋野に咲き乱れる草花を情趣豊かに表すものが多く、萩・女郎花・菊・桔梗などの秋草図が代表的である。その他、葡萄・松樹・貝尽し・藻貝・牡丹獅子・龍などが好まれ、特に美濃龍は後藤家の龍と異なり、胴体が締まり、透しが多く、宝珠を横掴みにする独特の表現で知られる。 古美濃の伝承作品は、鐔・笄・小柄・目貫などの刀装具に及ぶ。笄は細造りで棹も長く、生ぶのままの姿を保つものが多く、耳掻・蕨手・木瓜形の形状は古美濃笄の典型とされる。小柄には笄から直されたものも散見され、これらは江戸期に入ってからの工作と考えられる。目貫は金無垢地を用い、容彫で透しを多く配し、根なしや二陽根の形式で薄手に仕上げるものが特徴的である。鐔においては、木瓜形・竪丸形・菊花形など変化に富んだ形状を採り、両櫃孔の形も古格を示して力強い。文様は画面全体に鶴翼状に展開し、梅・桜・菊・葡萄・秋草などを配し、時に波頭や流水を交えて躍動飛躍の気運を盛り上げる。金うっとりの手際もよく、金の露色絵を全面に散らして装飾効果を更に豊かにしている。その清廉な雅趣と堂々とした格調は、桃山の豪快な気風を歌い、古美濃派が装剣金工の世界に吹き込んだ新風を今に伝えている。 詳しく見る →
銘が正しい、または無銘でも年代・流派を指摘でき、美術工芸的価値が認められる、保存に値する真正の刀装具と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト商品到着後7日以内、商品販売時と状態が変化していない場合適用させて頂きます。商品代金は返品確認後、ご指定口座へ速やかにご返金致します。