あまり抽象的に表現するのは避けたいのですが、一目でその上品さに惹かれます。老松の幹は蔓のように描かれ、散らされた松葉は控えめながらも銀の露象嵌が効いています。画題の中の主役を敢えて置かず、小紋模様の洒落た印象を表現したかったのかもしれません。強いていえば松葉の中の穂先(銀露象嵌)が主役で、その無理のない配置が絶妙なのでしょう。山銅の色もまたこの風合いに合っていて、赤銅にはない良さがあります。本作を例えるなら、自分の細君を携えているような小柄です。魚子を見ると長年連れ添った擦れが見られますが、松葉の銀象嵌に欠落はなく良い状態です。画題の構図と鋤出風の高彫からだと思われますが、古美濃と極められています。いったい古美濃とはどんな作を言うのでしょう。作風? 場所? 構図? 材料? 私共の知識では理解し難い領域です。まさか誰かの言動やイメージを基に極めているとは思いませんが・・・おっと失礼。本作は笄直しの袖小柄ですが、元になった笄の時代を室町後期と見ています。造りや状態から室町中期としたいところですが、もしその時代の古美濃であればもう少し肉置が高く、鋤出の彫も抉り取った壁が垂直に近い状態になると言われていますので、掟?通りに捉えることにしましょう。ともあれ、私見ですが大正ロマンの匂が漂う惹かれる逸品です。

古美濃派
古刀
無銘
特別保存 (NBTHK)
金工 · 美濃
現在37点販売中
古美濃派は、室町時代中期から桃山時代にかけて活躍した装剣金工の一派である。後藤家とほぼ同時期に発生したとされるが、後藤家が初代祐乗以来足利将軍家に仕えたのに対し、古美濃は在野にあって、王城の文化圏を中心に独自の活動を展開した。技術的には古金工の流れを汲むものの、やがて室町時代中期に古美濃と後藤家が枝分かれし、それぞれ独特の様式を確立した。その作域は室町時代中期から桃山時代にかけて極めて長く、時代による作風の幅も広い。 古美濃の作風は、「美濃の深彫」と称される力強い彫法に特色がある。鐔・笄・小柄においては、文様の彫口が切り立ち、鋤下高肉彫による立体的な表現が際立つ。目貫の場合は、薄い地金を高低激しく彫り込み、透しの抜けが多く、打ち出しやへし込みを駆使して躍動感溢れる造形を展開する。地は赤銅魚子地や山銅魚子地を用い、金銀のうっとり色絵や象嵌色絵を施して装飾性を高める。画題は主として秋野に咲き乱れる草花を情趣豊かに表すものが多く、萩・女郎花・菊・桔梗などの秋草図が代表的である。その他、葡萄・松樹・貝尽し・藻貝・牡丹獅子・龍などが好まれ、特に美濃龍は後藤家の龍と異なり、胴体が締まり、透しが多く、宝珠を横掴みにする独特の表現で知られる。 古美濃の伝承作品は、鐔・笄・小柄・目貫などの刀装具に及ぶ。笄は細造りで棹も長く、生ぶのままの姿を保つものが多く、耳掻・蕨手・木瓜形の形状は古美濃笄の典型とされる。小柄には笄から直されたものも散見され、これらは江戸期に入ってからの工作と考えられる。目貫は金無垢地を用い、容彫で透しを多く配し、根なしや二陽根の形式で薄手に仕上げるものが特徴的である。鐔においては、木瓜形・竪丸形・菊花形など変化に富んだ形状を採り、両櫃孔の形も古格を示して力強い。文様は画面全体に鶴翼状に展開し、梅・桜・菊・葡萄・秋草などを配し、時に波頭や流水を交えて躍動飛躍の気運を盛り上げる。金うっとりの手際もよく、金の露色絵を全面に散らして装飾効果を更に豊かにしている。その清廉な雅趣と堂々とした格調は、桃山の豪快な気風を歌い、古美濃派が装剣金工の世界に吹き込んだ新風を今に伝えている。 詳しく見る →
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト商品到着後7日以内、商品販売時と状態が変化していない場合適用させて頂きます。商品代金は返品確認後、ご指定口座へ速やかにご返金致します。
あまり抽象的に表現するのは避けたいのですが、一目でその上品さに惹かれます。老松の幹は蔓のように描かれ、散らされた松葉は控えめながらも銀の露象嵌が効いています。画題の中の主役を敢えて置かず、小紋模様の洒落た印象を表現したかったのかもしれません。強いていえば松葉の中の穂先(銀露象嵌)が主役で、その無理のない配置が絶妙なのでしょう。山銅の色もまたこの風合いに合っていて、赤銅にはない良さがあります。本作を例えるなら、自分の細君を携えているような小柄です。魚子を見ると長年連れ添った擦れが見られますが、松葉の銀象嵌に欠落はなく良い状態です。画題の構図と鋤出風の高彫からだと思われますが、古美濃と極められています。いったい古美濃とはどんな作を言うのでしょう。作風? 場所? 構図? 材料? 私共の知識では理解し難い領域です。まさか誰かの言動やイメージを基に極めているとは思いませんが・・・おっと失礼。本作は笄直しの袖小柄ですが、元になった笄の時代を室町後期と見ています。造りや状態から室町中期としたいところですが、もしその時代の古美濃であればもう少し肉置が高く、鋤出の彫も抉り取った壁が垂直に近い状態になると言われていますので、掟?通りに捉えることにしましょう。ともあれ、私見ですが大正ロマンの匂が漂う惹かれる逸品です。

古美濃派
古刀
無銘
特別保存 (NBTHK)
金工 · 美濃
現在37点販売中
古美濃派は、室町時代中期から桃山時代にかけて活躍した装剣金工の一派である。後藤家とほぼ同時期に発生したとされるが、後藤家が初代祐乗以来足利将軍家に仕えたのに対し、古美濃は在野にあって、王城の文化圏を中心に独自の活動を展開した。技術的には古金工の流れを汲むものの、やがて室町時代中期に古美濃と後藤家が枝分かれし、それぞれ独特の様式を確立した。その作域は室町時代中期から桃山時代にかけて極めて長く、時代による作風の幅も広い。 古美濃の作風は、「美濃の深彫」と称される力強い彫法に特色がある。鐔・笄・小柄においては、文様の彫口が切り立ち、鋤下高肉彫による立体的な表現が際立つ。目貫の場合は、薄い地金を高低激しく彫り込み、透しの抜けが多く、打ち出しやへし込みを駆使して躍動感溢れる造形を展開する。地は赤銅魚子地や山銅魚子地を用い、金銀のうっとり色絵や象嵌色絵を施して装飾性を高める。画題は主として秋野に咲き乱れる草花を情趣豊かに表すものが多く、萩・女郎花・菊・桔梗などの秋草図が代表的である。その他、葡萄・松樹・貝尽し・藻貝・牡丹獅子・龍などが好まれ、特に美濃龍は後藤家の龍と異なり、胴体が締まり、透しが多く、宝珠を横掴みにする独特の表現で知られる。 古美濃の伝承作品は、鐔・笄・小柄・目貫などの刀装具に及ぶ。笄は細造りで棹も長く、生ぶのままの姿を保つものが多く、耳掻・蕨手・木瓜形の形状は古美濃笄の典型とされる。小柄には笄から直されたものも散見され、これらは江戸期に入ってからの工作と考えられる。目貫は金無垢地を用い、容彫で透しを多く配し、根なしや二陽根の形式で薄手に仕上げるものが特徴的である。鐔においては、木瓜形・竪丸形・菊花形など変化に富んだ形状を採り、両櫃孔の形も古格を示して力強い。文様は画面全体に鶴翼状に展開し、梅・桜・菊・葡萄・秋草などを配し、時に波頭や流水を交えて躍動飛躍の気運を盛り上げる。金うっとりの手際もよく、金の露色絵を全面に散らして装飾効果を更に豊かにしている。その清廉な雅趣と堂々とした格調は、桃山の豪快な気風を歌い、古美濃派が装剣金工の世界に吹き込んだ新風を今に伝えている。 詳しく見る →
保存刀装具のうち、出来・保存状態が一層優れ、銘文や作風に資料的価値の高いものと認められたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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