室町は刀剣業を産業に変えた。徒歩の集団戦とともに打刀が興り、長船と関は数打ち物と注文打ちを並行して産し、勘合貿易は日本刀を数万振の単位で海外へ運んだ。
保存刀剣鑑定書付 銘 宇多友次 刀 【解説】 本作は「宇多友次」の銘が切られた一振りです。宇多派において「友次」を名乗る工は、南北朝時代後期(14世紀)から室町時代後期(16世紀)にかけて複数名存在します。 鑑定書には詳細な年代の指定はありませんが、日本美術刀剣保存協会(日美協)により、室町時代初期から中期頃の作と鑑定されています。 宇多派は南北朝時代から室町時代中期(1334年〜1491年頃)にかけて隆盛を極めた名門の刀工集団です。鎌倉時代末期、大和国宇多郡(現在の奈良県)から越中国(現在の富山県)へ移住した国光を始祖とし、国房や国宗といった門弟らと共にその礎を築きました。 南北朝から室町時代という戦乱の世において、宇多派の刀剣は極めて実用性に富むとして重宝され、北陸地方を代表する最大の刀工群となりました。 宇多派の作品は、鎌倉末期から南北朝期までのものを「古宇多」、室町期以降のものを「宇多」と大別されますが、本作は後者の時代区分に属します。 本品は、公益財団法人 日本美術刀剣保存協会(NBTHK)より「保存刀剣」に指定されています。これは、確かな真作であり、かつ保存状態が良く、美術品としての価値が高い刀剣にのみ与えられる鑑定書です。 ※切先に目立つ欠け(こぼれ)があり、刀身に数箇所の鍛え傷が見受けられます。詳細なコンディションについては、お気軽にお問い合わせください。 【刀身】 長さ(Nagasa):70.9 cm 反り(Sori):2.0 cm 刃文(Hamon):焼入れによって刃縁に現れる結晶構造。 地紋(Jihada):折り返し鍛錬によって現れる鋼の表面模様。 切先(Kissaki):刀身の先端部分。 茎(Nakago):柄に収まる中心(なかご)部分。 日本の刀工は、柄内部の赤錆を防ぐために茎に黒錆を残しました。この茎の経年変化(錆色)は、専門家が製作年代を推定する際の重要な指標となります。 【外装】 拵(Koshirae):鞘、柄、鍔などを含めた刀装具一式。 縁頭(Fuchi-Kashira):柄の両端を保護する一対の金具。 本作の縁頭は「合戦図」を題材としています。松の木、海上に浮かぶ軍船、そして陸地で構える武士の姿が緻密に描写されています。 柄・目貫(Tsuka / Menuki):柄は持ち手部分、目貫はその装飾金具。 目貫のモチーフも同じく「合戦図」です。甲冑に身を包み、刀や弓を手にして戦う武士の姿が表現されています。 鍔・鎺(Tsuba / Habaki):鍔は拳を守る護法具、鎺は刀身を鞘内に固定し、刀身が鞘に触れて錆びたり傷ついたりするのを防ぐ金具です。 この鍔は、木瓜の断面を模した「木瓜形(もっこうがた)」を呈しています。木瓜形は江戸時代の鍔において非常に人気を博した意匠です。 鍔の表裏には、瑞兆とされる雲の文様である「瑞雲(ずいうん)」が彫り込まれています。

























脇物 · 越中 · 1381-1384頃
藤代 中上作 · 刀剣大鑑 上位21%
友次の位置づけを、日本刀全体および伝法・時代・時期ごとに示します。各区分(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。
各項目を選ぶと評価方法が表示されます。
脇物 · 越中
時期区分: 古宇多· 1310–1394
現在24点販売中
古宇多は、越中宇多派の草創にあたる一群を指す。宇多派は元来大和国宇陀郡の出身で、鎌倉時代末期の文保頃に古入道国光が大和より越中国宇津の地へ来住して開祖となったと伝える。国光の子に国房・国宗があり、さらに国次らが続いて、南北朝期にかけて一派の基礎を築いた。同名は一代限りではなく、国光・国房ともに後代まで襲名する工が数代を数え、室町時代を経て新刀期にまで及んでいる。このうち南北朝期を下らぬ作を特に古宇多と汎称し、開祖国光以下、大和の根を色濃く残した最初の世代がここに含まれる。国光在銘の確実な遺品は少なく、国房も南北朝後期ないし康応元年の年紀を有するものを最古とするため、この区分の在銘作はもとより数が限られる。 作風は地鉄に最もよく現れる。鍛えは板目に杢目・流れ肌を交えて柾がかり、肌立ちごころとなって地沸つき、地景が入り、地鉄が黒みをおびて処々粕立つところに北国物の持味を見せる。映りは白け映りまたは沸映りとして立つことが多い。刃文は細直刃を基調とし、処々に小互の目・小乱れや浅いのたれを交え、小足入り、小沸つき、刃縁が細かにほつれ、喰違刃や打のけを交えて、金筋・砂流しがかかる。帽子は直ぐに小丸、掃きかけて浅く返るものが目立つ。鎬の高い造込みは本国大和の影響によるもので、大和味の濃さがこの区分の根幹をなすが、一方で越中の先達である則重や江に倣ったとみられる相州伝風の作も含み、上工になると沸が強く働き、地刃ともに変化に富む。後代の宇多が次第に北国色を強め荒みを増すのに対し、古宇多は大和物を見るような澄んだ出来に近く、模範への距離が短い点で隔たりがある。 鑑定にあたっては、黒みをおびて肌立つ地鉄に白け映りの立つ点と、刃縁のほつれ・喰違刃に金筋・砂流しの加わる大和系の働きを併せ読むことが要となる。沸の強い作は一見相州上工を想わせるが、黒く粕立つ地鉄と、輝くというより締まる匂口によって宇多に引き戻される。主要工は開祖の古入道国光と、その子と伝える初代国房であり、国房には黒川古文化研究所・日枝神社所蔵の重要美術品の太刀が遺例として著名で、「国」字のクニ構えを井桁の如く崩す独特の銘字が初代の手がかりとなる。ほかに国宗・国次、また友則・友重らの名も伝わる。在銘作が乏しいため、評価はおのずと地鉄と刃の働きによる無銘極めに多くを負い、地刃の健やかな上作は滋味掬すべき優品として遇される。伝来は寺社や旧蔵家に長く留まる例が多く、宇多物研究上の資料として重んじられている。 詳しく見る →
室町時代
室町は刀剣業を産業に変えた。徒歩の集団戦とともに打刀が興り、長船と関は数打ち物と注文打ちを並行して産し、勘合貿易は日本刀を数万振の単位で海外へ運んだ。
銘が正しい、または無銘でも年代・国・系統を確実に指摘できる、保存に値する真正の作と鑑定されたものです。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
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