説明

三角正治(光次) 極稀少 目貫 三角正治(通称:光次)は、その出自や系譜に関する詳細な記録が乏しく、謎に包まれた金工師です。判明している事実として、三角家は肥後大名・細川家に直接仕えたのではなく、細川家の筆頭家老であった松井家の家臣として名を連ねていました。 肥後国は熊本の細川家によって統治されていましたが、幕府の「一国一城令」下にあっても、細川家は防衛上の戦略から例外的に二城の保持を許されていました。これは、薩摩の島津氏や、九州を窓口とする外来者、キリスト教勢力といった脅威に対し、細川家を重要な防波堤と見なした幕府の配慮によるものです。また、肥後国は国内屈指の米の産地であり、細川家が強大な経済力を誇っていたことも、幕府が彼らを敵に回さず懐柔しようとした要因の一つでしょう。 この二城体制において、細川家は当初加藤家を通じて麦島城を治めさせていましたが、元和5年(1619年)の地震により同城が崩壊。その後、新たに八代城(白い石灰岩の城壁から「白鷺城」とも呼ばれる)が築城され、その管理を任されたのが松井家でした。記録によれば、三角家はこの八代において松井家の家臣として仕えていたことが確認されています。 現存する三角作品のすべては松井家の伝来品に由来すると推測されており、実質的には松井家専属の「お抱え金工」であったと言えます。三角の作品は極めて稀少ですが、縁頭、目貫、鍔などの遺例が僅かに確認されています。記録には三角家の人物として光順や伝蔵といった名も見受けられますが、現存する作例の多くは正治(光次)の手によるものとされています。資料が極めて少ないため……

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