出羽三山として湯殿山、羽黒山と共に古来尊崇を集めた霊峰月山(がっさん)。雪化粧したその美しい山並みを臨む寒河江郷谷地には近則、正信、俊吉、定真、寛安、安房、久利、國宗などの刀工が居住し、「月山」「羽州住月山」と刻銘した作を遺している。 月山鍛冶の特徴でもある肌目が大きく波打つ綾杉肌と呼ばれる独特の鍛えが、洛北鞍馬山の平安城吉次、さらには薩南波平の刀工にもみられることから、この鍛法は修験の道を通じて各地に伝播していたと考えられている。 表題の短刀は、棟を真に造り、身幅尋常で重ねを控え、僅かに内に反ってふくらが充分に付い た気品のある姿。 綾杉鍛えの地鉄は地景が太く入って肌目が鮮明に起ち現れ、刃寄り深く澄んで小粒の地沸が厚く付き、淡く沸映りが立つ。 直刃の焼刃は浅く揺れ、鍛え目に添って刃境にほつれ、打ちのけが掛かる。帽子はやや突き上げて小丸に返る。浅い勝手下がり鑢で仕立てられた茎には個性的な二字銘が刻されている。 月山の特色が顕著で、同作中では殊に地肌が詰んだ美しい仕上がりとなっている。 柄と鞘の腰元に刻みを施し、鞘を黒と茶の石目地で塗り分けた、いかにも数寄者好みの、肥後様式になる質実な短刀拵に収められている。 注...山頂に天照大神の弟月読命を祀っている。














脇物 · 出羽
現在49点販売中
月山は、出羽国に聳える月山に因んで称された一派である。月山は出羽三山修験道の名山であり、この山号を銘とする刀工は、すでに平安時代から存在したことが『観智院本銘尽』に記されている。古来その鍛冶は平安時代末期に始まると伝えるが、現存する最古の有銘作は南北朝期の制作と鑑せられるもので、出羽三山神社所蔵の重要美術品の太刀がこれにあたる。収録される作には、現存の在銘作で最も古い部類に属する「月山」銘の太刀をはじめ、南北朝期の年紀をもつ勝軍、銘鑑にいわゆる羽州月山一派暦応頃に該当する長光、室町後期の月山近則、さらに時代下って幕末から明治にかけて大坂に出た月山貞一に及び、出羽に発した古い月山から後代に至るまでの広がりを示している。山岳信仰を背景とするこの一派は、長く東北の地にあって独自の作域を伝えてきた。 作風の最大の特色は、鍛え肌が綾杉模様にうねって流れ、その窪みの部分に渦巻状の杢目を交える、いわゆる綾杉肌を示すところにある。匂口の沈んだ直刃を焼く点は各時代に共通し、地沸がつき、直刃調から小乱れ、小互の目を交える刃文が見られる。鉄はかな色に黒みをおびて奥州気質を看取させ、奥州物らしく沸崩れて締らず匂口の冴えに乏しいものもある。ただし末流においては綾杉肌のあらわれぬ作もあり、月山近則の作中には備前伝の作風を示して長船鍛冶との技術交流を窺わせるものがある。後代大坂の月山貞一は、山城・大和・相州・備前・美濃など諸流の伝法をこなしつつ、古い月山にならった綾杉肌を巧みに再現し、刀身彫刻においても優れた技倆を見せた。月山の見分けは、この綾杉肌と黒む東北の鉄、沈んだ直刃の調子に拠るところが大きい。 鑑定にあたっては、綾杉肌の有無とその出方、地鉄の黒みと沸の崩れ加減、彫物の手際を併せ見ることが要点となる。古い月山に綾杉肌の典型を求め、末流には肌のあらわれぬ場違的な作や備前伝の混じる作のあることを念頭に置く必要がある。代表的な作としては、出羽三山神社蔵の太刀が古作の基準となり、月山近則の在銘脇指、勝軍や長光の南北朝期の遺例が一派の展開を伝える。貞一には毘沙門・倶利伽羅・不動などを彫り、久邇宮への献上刀をはじめとする所伝の明らかな作が残る。修験の山に発し、綾杉肌という他に紛れぬ地鉄を看板として東北に伝えられたこの一派は、刀剣史のうえで独特の位置を占めている。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト弊社の過失により、本来の状態と著しく異なる場合には商品の返品が可能です。クーリングオフは商品到着後一週間以内です。
出羽三山として湯殿山、羽黒山と共に古来尊崇を集めた霊峰月山(がっさん)。雪化粧したその美しい山並みを臨む寒河江郷谷地には近則、正信、俊吉、定真、寛安、安房、久利、國宗などの刀工が居住し、「月山」「羽州住月山」と刻銘した作を遺している。 月山鍛冶の特徴でもある肌目が大きく波打つ綾杉肌と呼ばれる独特の鍛えが、洛北鞍馬山の平安城吉次、さらには薩南波平の刀工にもみられることから、この鍛法は修験の道を通じて各地に伝播していたと考えられている。 表題の短刀は、棟を真に造り、身幅尋常で重ねを控え、僅かに内に反ってふくらが充分に付い た気品のある姿。 綾杉鍛えの地鉄は地景が太く入って肌目が鮮明に起ち現れ、刃寄り深く澄んで小粒の地沸が厚く付き、淡く沸映りが立つ。 直刃の焼刃は浅く揺れ、鍛え目に添って刃境にほつれ、打ちのけが掛かる。帽子はやや突き上げて小丸に返る。浅い勝手下がり鑢で仕立てられた茎には個性的な二字銘が刻されている。 月山の特色が顕著で、同作中では殊に地肌が詰んだ美しい仕上がりとなっている。 柄と鞘の腰元に刻みを施し、鞘を黒と茶の石目地で塗り分けた、いかにも数寄者好みの、肥後様式になる質実な短刀拵に収められている。 注...山頂に天照大神の弟月読命を祀っている。














脇物 · 出羽
現在49点販売中
月山は、出羽国に聳える月山に因んで称された一派である。月山は出羽三山修験道の名山であり、この山号を銘とする刀工は、すでに平安時代から存在したことが『観智院本銘尽』に記されている。古来その鍛冶は平安時代末期に始まると伝えるが、現存する最古の有銘作は南北朝期の制作と鑑せられるもので、出羽三山神社所蔵の重要美術品の太刀がこれにあたる。収録される作には、現存の在銘作で最も古い部類に属する「月山」銘の太刀をはじめ、南北朝期の年紀をもつ勝軍、銘鑑にいわゆる羽州月山一派暦応頃に該当する長光、室町後期の月山近則、さらに時代下って幕末から明治にかけて大坂に出た月山貞一に及び、出羽に発した古い月山から後代に至るまでの広がりを示している。山岳信仰を背景とするこの一派は、長く東北の地にあって独自の作域を伝えてきた。 作風の最大の特色は、鍛え肌が綾杉模様にうねって流れ、その窪みの部分に渦巻状の杢目を交える、いわゆる綾杉肌を示すところにある。匂口の沈んだ直刃を焼く点は各時代に共通し、地沸がつき、直刃調から小乱れ、小互の目を交える刃文が見られる。鉄はかな色に黒みをおびて奥州気質を看取させ、奥州物らしく沸崩れて締らず匂口の冴えに乏しいものもある。ただし末流においては綾杉肌のあらわれぬ作もあり、月山近則の作中には備前伝の作風を示して長船鍛冶との技術交流を窺わせるものがある。後代大坂の月山貞一は、山城・大和・相州・備前・美濃など諸流の伝法をこなしつつ、古い月山にならった綾杉肌を巧みに再現し、刀身彫刻においても優れた技倆を見せた。月山の見分けは、この綾杉肌と黒む東北の鉄、沈んだ直刃の調子に拠るところが大きい。 鑑定にあたっては、綾杉肌の有無とその出方、地鉄の黒みと沸の崩れ加減、彫物の手際を併せ見ることが要点となる。古い月山に綾杉肌の典型を求め、末流には肌のあらわれぬ場違的な作や備前伝の混じる作のあることを念頭に置く必要がある。代表的な作としては、出羽三山神社蔵の太刀が古作の基準となり、月山近則の在銘脇指、勝軍や長光の南北朝期の遺例が一派の展開を伝える。貞一には毘沙門・倶利伽羅・不動などを彫り、久邇宮への献上刀をはじめとする所伝の明らかな作が残る。修験の山に発し、綾杉肌という他に紛れぬ地鉄を看板として東北に伝えられたこの一派は、刀剣史のうえで独特の位置を占めている。
保存刀剣のうち、出来が一層優れ、保存状態も良好と認められたものです。再刃や、室町・江戸期の多くの無銘作は対象外となり、保存刀剣より高い基準が課されます。
日本美術刀剣保存協会(NBTHK)は、1948年に設立され、文化庁の監督を受ける公益財団法人で、東京・刀剣博物館に本部を置きます。専門の審査員が出品作を直接審査し、美術的・歴史的価値に応じた鑑定書を発行します。NBTHKの鑑定書は、日本刀および刀装具の真正性を示す最も広く認知された基準です。
NBTHK公式サイト弊社の過失により、本来の状態と著しく異なる場合には商品の返品が可能です。クーリングオフは商品到着後一週間以内です。