説明

古備前 脇指 第23回重要刀剣(昭和50年指定) 本間順治(薫山)博士著『寒山日々抄』(昭和46年)所載 「名物:アメリカ所在の日本刀と刀装具」展(1979年シカゴ)出品作 本間薫山博士による鞘書あり 【流派】古備前 【鑑定】日本美術刀剣保存協会(日刀保) 第23回重要刀剣 【時代】平安時代後期〜鎌倉時代初期(文治頃・1185年頃) 【銘】無銘 【体配】脇指 【長さ】54.6 cm(一尺八寸) 【造り】鎬造 【反り】鳥居反り 【反り幅】1.3 cm 【棟】庵棟 【重ね】5 mm 【元幅】2.3 cm 【先幅】1.6 cm 【茎状態】大磨上 【切先】小切先 【切先長】2.1 cm 【茎形状】標準、切尻 【目釘孔】一個 【鑢目】不明瞭 本作は平安後期から鎌倉初期(1185年頃)にかけての古備前派による重要刀剣の脇指です。米国においても非常に著名な一振りであり、ロバート・ルワート博士、次いでアーノルド・フレンゼル教授の旧蔵品として知られています。 1971年、ルワート博士により本間薫山先生のもとへ鑑定と鞘書のために持ち込まれ、1974年には小野光敬先生によって研磨が施されました。これは小野先生が人間国宝に認定される直前に手掛けられた最後の作品の一つです。その後、1975年に重要刀剣に指定。本間先生の著書『寒山日々抄』や、1979年のシカゴ「名物展」図録にも掲載されています。 以下、本間薫山先生による解説および重要刀剣等図譜の記述をご紹介いたします。 ■『寒山日々抄』(本間順治著・1971年)より: 「長さ一尺八寸、目釘孔一個。身幅細く小切先。鍛えは小板目肌立ち、地沸厚くつき、淡く乱れ映り立つ。刃文は沸出来の小乱れに足、砂流し、金筋入り、帽子は小丸に返り、先掃きかける。表裏に二筋樋を掻き通す。刃寄りの様子は初期の京物(山城伝)を思わせるが、映りの立ち具合から古備前と鑑せられる。友成や正恒の作とは異なるが、個別の作者名を特定するのは困難である。(先日、シカゴ大学のルワート博士より寄託を受け、精査したもの)」 ■『重要刀剣等図譜』(1975年)より: 【形状】鎬造、庵棟、細身、反り浅く、小切先。 【鍛】板目肌立ち、地景交じり、地沸厚くつく。 【刃文】小乱れ、沸よくつき、砂流し、金筋かかり、頻りに寄走(よばしり)入る。 【帽子】直ぐに小丸、表に二重刃。 【彫物】表裏に二筋樋を掻き通す。 【茎】大磨上、先切、鑢目切、目釘孔一、無銘。 【説明】 古備前とは、平安後期から鎌倉初期にかけての備前鍛冶の総称であり、友成、正恒、利恒、包平、助包、吉包といった名工が輩出された。 本作は大磨上無銘の脇指で、僅かにシミが見受けられるものの、古備前派の特色が顕著に示された優品である。

古備前 Ko Bizen Wakizashi
売切れ
Jūyō売切れ

古備前 Ko Bizen Wakizashi

脇差

売却済

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流派

Ko-Bizen

時代

Koto

仕様

長さ

54.6 cm

反り

1.3 cm

元幅

2.3 cm

先幅

1.6 cm

流派について

Ko-Bizen School古備前派

2 重要美術品2 特別重要刀剣43 重要刀剣

古備前派は、備前国に興った最も古い一群の刀工を指し、平安時代末期のいわゆる藤末鎌初から鎌倉時代初期、一部は中期にかけて活躍した。後に備前を席巻する長船・福岡一文字の母体をなす、備前伝の最も古い根である。その最初期に立つのが友成と正恒で、両工は古来この一派の双璧に数えられる。友成にはひときわ古雅な姿の良さがあり、正恒には精緻な鍛えの良さがあると伝え、いずれも一人の工というより何代かを経た名跡を指すものと解されている。これに「備前三平」の名で並び称される包平・助平・高平が加わり、わけても包平は天下の名刀『大包平』によってその名を不動のものとした。正恒の系からは恒光・利恒・遠近が、友成の系からは行秀が出たと伝えるなど、いくつかの脈が知られるが、景安・吉包・信房・成高・助包・基近・順慶らを含め、その多くは記録された系譜よりも姿と地刃の古雅さによって古備前と鑑せられる。順慶のごとく、後世長らく長船長光に擬されていた名が、作風と銘の鏨運びから初期備前の独立した手として読み直された例もある。 作風は静かで古調な備前の手にある。姿は当代の細身の太刀で、鎬造に庵棟、腰反り高く踏張りがつき、先に伏しごころとなって小鋒に結ぶのを典型とする。鍛えはよく錬れた板目に杢を交えてやや肌立ちごころとなり、地沸つき地景が細かに入り、その上に淡い乱れ映り、ないし古備前の鋼に特有の地斑映りが立つ。刃文は直刃調の小乱れを主調とし、小丁子・小互の目を交え、匂深く小沸が厚くつき、刃中に足・葉が働いて、砂流し・金筋がかかる。帽子は静かな小丸で、時に焼詰めごころとなり、元を焼き落とす古い手法もままに見る。総じて華やかに乱れるものは少なく、後世の備前が高く冴える丁子の乱れに向かうのに対し、古備前は同じ語彙を抑えた沸の働きのうちに収める。この通例のなかで初期の名工はそれぞれの個性を刻む。正恒の映りは鮮明に冴え、友成のそれは淡く、棒樋を好む正恒に対し友成は彫を見せず、包平は大包平に見る雄大な姿で抜きん出る。景安は互の目と角ばる刃が勝って一文字への橋渡しを思わせ、吉包は同門より肌立つ地鉄と沈みごころの匂口で分かれ、行秀は逆ごころの乱れと二重刃を、成高は打ちのけと二重刃をその印とする。 古備前が収集家に求められるゆえんは、まずこの一派が備前伝そのものの始発点に立つことにある。鑑定の勘所は、後の華やかな福岡一文字や整然たる長船から古備前を分かつ点にある。すなわち、立ち冴える丁子と乱れ映りに対して、古備前は抑えた小乱れと沸の働き、淡い地斑映りをもって読まれ、姿は腰反り高く先伏しごころの古調を保つ。順慶のように在銘作に映りを伴わぬ沸出来が、長船の匂出来・映りの伝統との別を決する手がかりとなる例は、その鑑別の機微をよく示す。主要刀工の格は高く、友成・正恒・包平・信房は最上作に列し、その名を負う指定の重みは比類ない。代表作には、徳川光顕を経て皇室に伝わった友成の名物『丸口』、岡山池田家の至宝として古備前随一の雄大な姿を示す『大包平』、庄内酒井家に伝来した信房の国宝、御物『十万束』があり、いずれも国宝・重要文化財・御物として文化財に伝えられ、市場の外にある。在銘で生ぶ茎を完存する作がこれほど古い工としては比較的よく遺るのも一派の特色で、それらは初期備前の作域と銘を伝える第一の資料である。古備前の在銘作、わけても初期の名工の太刀が世に現れることは、この分野で最も稀な出来事の一つであり、現れればまさに一個の事件である。

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