【銘】埋忠就信(花押) 竹虎図鐔 【解説】 本作は、銘振りから江戸時代後期に江戸で活躍した埋忠派の金工、就信による作品と推測されます。埋忠派には「就」の字を冠する工が複数存在することから、就信も同門の先達に師事し、その一字を拝領したものと考えられます。 埋忠家の祖である埋忠明寿は、山城国において重隆の次男として生まれました。代々優れた刀工を輩出した名門の家督を継いだ明寿は、当初は室町幕府十五代将軍・足利義昭に仕え、後には織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった名だたる戦国武将たちからもその技量を高く評価されました。 京都を拠点とした埋忠家は、作刀のみならず刀装具製作においても高名な一族です。名刀の磨上げや金象嵌銘の施銘、金具の製作、さらには古刀の鑑定記録に至るまで、刀剣に関わる広範な業務を工房全体で手掛けていたと考えられています。 意匠に目を向けますと、岩場に身を躍らせる虎の姿が描かれています。周囲には力強い樹木が配され、瑞々しい竹の葉が密に生い茂っています。「竹に虎」は古来より「竹虎図」として親しまれてきた伝統的な画題です。獲物を狙うかのような虎の鋭い眼光からは、独特の緊張感が伝わってまいります。 虎は勇猛果敢な動物であり、その文様は魔除けや厄除けの象徴として尊ばれてきました。また、漢字の「寅」には生命活動の始まりという意味が含まれることから、男児の健やかな成長を願う吉祥の紋様としても愛されてきました。 併せて描かれた「竹」もまた、松竹梅の一つに数えられる極めて縁起の良いモチーフです。天に向かって真っ直ぐに伸びる姿は高潔さと強さを象徴し、節があり中が空洞であることから、潔白な心を表すとされています。また、伝説の霊鳥である鳳凰がその実を食すと伝えられる聖なる植物であり、冬でも青々とした葉を失わないことから、不老長寿や永遠の象徴ともされてきました。 荒波を思わせる樹木の質感や、楕円形の画面に収まる虎のしなやかな体躯など、随所に作者の独創的な感性と魅力が光る一品です。 ※本品はアンティーク品のため、状態については写真にて詳細をご確認ください。 【鐔(つば)とは】 鐔は日本刀の拳を守るための護具です。格式高い武士は、意匠を凝らした美しい刀装具で刀を飾り立てました。特に鐔の表側は、登城の際などに他者の目に触れる機会が多いため、より装飾性の高い細工が施される傾向にあります。 【刀装具の意義】 日本刀には鐔のほか、目貫、縁頭といった様々な装飾金具が備わっています。これらは武器としての機能だけでなく、持ち主の格付けや信念、個性を誇示する役割も果たしていました。現代で例えるならば、スマートフォンのケースやアクセサリーのように、自己表現の手段であったとも言えるでしょう。ぜひ細部まで拡大してご覧ください。当時の金工師による驚異的な彫金技術の粋を感じ取っていただけることと存じます。






埋忠派
江戸
在銘
新刀 · Kyoto
現在43点販売中
埋忠派は桃山時代を代表する金工集団であり、刀装具制作において後藤家と並び称される名流である。その鐔制作の技術は他の追随を許さず、古来より「埋忠鐔」の名を以て絶賛されている。特に埋忠彦次郎を中心とする本流は、吉川広家指料の「碇切り」に代表される苔鑢の妙技で知られ、金無垢地に施された鑢目の高尚な品格は筆舌に尽くせないほどである。桃山期における溌剌とした芸術精神を反映し、鐔の世界に新生面を拓いた。 作風の特徴として、金無垢、素銅、真鍮など多様な地金を用い、絶妙な肉取りの平地に締まった肉置きを見せる。斜めに掛けられた鑢や角耳の鑢仕立ては埋忠の真髄であり、切羽台外周に施された微妙な角度の配慮は、拵や刀装具を熟知した技術者ならではの工夫である。意匠は桜花透、胡蝶透、葡萄文、菊唐草文など図案化された文様を陰透や平象嵌で表し、明寿が創始した赤銅・銀・金の平象嵌研出しの技法は極めて効果的である。家紋を散らした刻印打込や七宝象嵌など装飾性に富み、絵画的で雅な雰囲気が満ちている。 江戸時代に入ると京都金工界において後藤、平田、正阿弥と各派が互いに影響し合い、埋忠派もその作風に変化を見せている。埋忠寿斉の銘がある慶長十年正月の縁頭は、金無垢地に家紋散図を施した豪華な仕立てであり、上層武家の需要に応えた作例として知られる。金無垢の鐔は度々の激動期に鋳潰されたため桃山期以前の作品は極めて少なく、現存する作例は資料的にも貴重である。埋忠二字銘の作品も江戸前期に見られ、明寿に近い出来を示すものもある。
販売店の出品ページで鑑定書を確認できませんでした。日本刀および刀装具は通常、NBTHK(または NTHK)の鑑定を受けます。鑑定書がない場合、極めは販売店の見解にとどまり、第三者による確認は行われていません。ご購入前に販売店へ鑑定書の有無をお問い合わせのうえ、慎重にご判断ください。
Returns/exchanges limited to defects caused by shipping (except willful misconduct or gross negligence by the company); customers must contact within 72 hours of receiving the product.
【銘】埋忠就信(花押) 竹虎図鐔 【解説】 本作は、銘振りから江戸時代後期に江戸で活躍した埋忠派の金工、就信による作品と推測されます。埋忠派には「就」の字を冠する工が複数存在することから、就信も同門の先達に師事し、その一字を拝領したものと考えられます。 埋忠家の祖である埋忠明寿は、山城国において重隆の次男として生まれました。代々優れた刀工を輩出した名門の家督を継いだ明寿は、当初は室町幕府十五代将軍・足利義昭に仕え、後には織田信長、豊臣秀吉、徳川家康といった名だたる戦国武将たちからもその技量を高く評価されました。 京都を拠点とした埋忠家は、作刀のみならず刀装具製作においても高名な一族です。名刀の磨上げや金象嵌銘の施銘、金具の製作、さらには古刀の鑑定記録に至るまで、刀剣に関わる広範な業務を工房全体で手掛けていたと考えられています。 意匠に目を向けますと、岩場に身を躍らせる虎の姿が描かれています。周囲には力強い樹木が配され、瑞々しい竹の葉が密に生い茂っています。「竹に虎」は古来より「竹虎図」として親しまれてきた伝統的な画題です。獲物を狙うかのような虎の鋭い眼光からは、独特の緊張感が伝わってまいります。 虎は勇猛果敢な動物であり、その文様は魔除けや厄除けの象徴として尊ばれてきました。また、漢字の「寅」には生命活動の始まりという意味が含まれることから、男児の健やかな成長を願う吉祥の紋様としても愛されてきました。 併せて描かれた「竹」もまた、松竹梅の一つに数えられる極めて縁起の良いモチーフです。天に向かって真っ直ぐに伸びる姿は高潔さと強さを象徴し、節があり中が空洞であることから、潔白な心を表すとされています。また、伝説の霊鳥である鳳凰がその実を食すと伝えられる聖なる植物であり、冬でも青々とした葉を失わないことから、不老長寿や永遠の象徴ともされてきました。 荒波を思わせる樹木の質感や、楕円形の画面に収まる虎のしなやかな体躯など、随所に作者の独創的な感性と魅力が光る一品です。 ※本品はアンティーク品のため、状態については写真にて詳細をご確認ください。 【鐔(つば)とは】 鐔は日本刀の拳を守るための護具です。格式高い武士は、意匠を凝らした美しい刀装具で刀を飾り立てました。特に鐔の表側は、登城の際などに他者の目に触れる機会が多いため、より装飾性の高い細工が施される傾向にあります。 【刀装具の意義】 日本刀には鐔のほか、目貫、縁頭といった様々な装飾金具が備わっています。これらは武器としての機能だけでなく、持ち主の格付けや信念、個性を誇示する役割も果たしていました。現代で例えるならば、スマートフォンのケースやアクセサリーのように、自己表現の手段であったとも言えるでしょう。ぜひ細部まで拡大してご覧ください。当時の金工師による驚異的な彫金技術の粋を感じ取っていただけることと存じます。






埋忠派
江戸
在銘
新刀 · Kyoto
現在43点販売中
埋忠派は桃山時代を代表する金工集団であり、刀装具制作において後藤家と並び称される名流である。その鐔制作の技術は他の追随を許さず、古来より「埋忠鐔」の名を以て絶賛されている。特に埋忠彦次郎を中心とする本流は、吉川広家指料の「碇切り」に代表される苔鑢の妙技で知られ、金無垢地に施された鑢目の高尚な品格は筆舌に尽くせないほどである。桃山期における溌剌とした芸術精神を反映し、鐔の世界に新生面を拓いた。 作風の特徴として、金無垢、素銅、真鍮など多様な地金を用い、絶妙な肉取りの平地に締まった肉置きを見せる。斜めに掛けられた鑢や角耳の鑢仕立ては埋忠の真髄であり、切羽台外周に施された微妙な角度の配慮は、拵や刀装具を熟知した技術者ならではの工夫である。意匠は桜花透、胡蝶透、葡萄文、菊唐草文など図案化された文様を陰透や平象嵌で表し、明寿が創始した赤銅・銀・金の平象嵌研出しの技法は極めて効果的である。家紋を散らした刻印打込や七宝象嵌など装飾性に富み、絵画的で雅な雰囲気が満ちている。 江戸時代に入ると京都金工界において後藤、平田、正阿弥と各派が互いに影響し合い、埋忠派もその作風に変化を見せている。埋忠寿斉の銘がある慶長十年正月の縁頭は、金無垢地に家紋散図を施した豪華な仕立てであり、上層武家の需要に応えた作例として知られる。金無垢の鐔は度々の激動期に鋳潰されたため桃山期以前の作品は極めて少なく、現存する作例は資料的にも貴重である。埋忠二字銘の作品も江戸前期に見られ、明寿に近い出来を示すものもある。
販売店の出品ページで鑑定書を確認できませんでした。日本刀および刀装具は通常、NBTHK(または NTHK)の鑑定を受けます。鑑定書がない場合、極めは販売店の見解にとどまり、第三者による確認は行われていません。ご購入前に販売店へ鑑定書の有無をお問い合わせのうえ、慎重にご判断ください。
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