本項は伊勢国桑名の三代村正、天正年間(一五七三~九二)の刀工を扱う。説明は年紀によって代別を示し、「村正は伊勢国桑名に住し、現存する最古の年紀が文亀元年あり、これを初代として永正・天文の年紀を見るものが二代であり、天正年紀のあるものが三代である」と記す。初代・二代は別項であり、本項は天正の三代のみを対象とする。
三代の作としては、昭和四十三年第十七回重要刀剣に指定された平造・三ツ棟の脇指一口が知られる。身幅広く、寸延びとなり、やや先反りが強い。鍛えは板目肌流れて地沸つき、白気ごころがあり、棟焼がかかる。
刃文は湾れ調に箱刃・尖り刃・互の目を交え、中程より上が殊に盛んとなって飛焼を交え、総体に砂流しかかり叢沸つく。帽子は乱れ込み、表は先尖りごころ、裏は小丸で、ともに盛んに掃きかけて長く焼き下げる。茎は生ぶ、たなご腹、鑢目切で、「棟寄りに大振りの二字銘がある」。
三代の比定は銘振りによるもので、説明は「銘振りから鑑て三代であり、その最高作である」と評する。指定を受けた作はこの一口に限られ、指定時の所蔵者は愛知県の森瀬清之氏である。