江戸は刀の目利きの時代である。本阿弥の鑑定、1719年の享保名物帳、盛んな刀剣書が、戦で抜かれることのなくなった刀を学問の対象へと変えていった。
刃長20.97センチ 反り1.49センチ 元幅19.5ミリ 元重ね5.4ミリ 物打幅21.2ミリ 物打重ね4.8ミリ 松葉位置重ね4.7ミリ 裸身重量144グラム。 江戸前期万治3年(1660) The early period of Edo era 昭和48年9月11日 滋賀県登録 附属 白鞘、素銅地銀着はばき、桐箱 江戸の泰平が生み育んだ豊かな節句文化。その中でも、大名家や豪商の屋敷では、幼子の健やかな成長を願い、実際に身に着けることのできる精巧な甲冑飾りや雛道具が特別に誂えられました。大人の太刀を幼児サイズに写したものや、数寸の人形用太刀であっても真剣を収めたものなど、贅と美意識が極まる世界です。 本作・雛薙刀(稚児薙刀)もまさにその逸品に数えられます。節句飾りの一式は散佚してしまったものの、当時の雛段を華やかに彩った高級雛道具の一具であったことは疑いなく、小振りながら実用刀と同等のつくり込みが、かつての格式と由緒を雄弁に語っています。 初代則定は矢作に住し、江戸前期に活躍し刀工です。本作は六寸九分という非常に短い刃長で、大名家の節句飾りのため特注された、極めて珍しい雛薙刀です。 大名・上士の子息や姫君の節句用に、雛薙刀・稚児薙刀・姫薙刀と呼ばれる品が稀に鍛えられましたが、その現存数は極めて少なく、殆どが無銘である中、本作のように刀工銘と裏年紀を備えるものは特に希少です。 本稚児薙刀は柾目鍛えが明瞭で、地刃には微塵の疵もなく健全そのもの。匂口明るく冴えた湾れ調の互ノ目乱れを焼き、刃縁には大粒の沸が付き、砂流が掛かり、食い違い風の刃も交えるなど、小さな姿ながら働きは豊かに満ちています。まさに則定の技倆を余すところなく示す名作といえましょう。 白木の柄と、趣向を凝らした仕掛けの桐箱が付属し、研磨状態も良好で、現状のまま鑑賞を十二分にお楽しみいただけます。 節句文化の粋を伝える極めて珍しい稚児薙刀──歴史的資料価値と鑑賞美を兼ね備えた、ぜひ大切にお迎えいただきたい逸品です。
取扱店 刀心
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山城 · 1624-1644頃
江戸時代
江戸は刀の目利きの時代である。本阿弥の鑑定、1719年の享保名物帳、盛んな刀剣書が、戦で抜かれることのなくなった刀を学問の対象へと変えていった。
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