
Katana:Tajima Kami Ho-Jyoji Tachibana Sadakuni Kanbun 8 Nen 8 Gatsu Hi(NBTHK Tokubetsu Hozon Token)(Consignment sale)
開始価格
¥1,000,000
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Manji–Kanbun (1658-1673)
仕様
76.1 cm
1.67 cm
3.08 cm
2.02 cm
作者について
Hojoji Sadakuni貞國
但馬守法城寺橘貞国は、万治から寛文・延宝期にかけて江戸で作刀した刀工で、その一刀は寛文五年十月七日の年紀をもち、試刀家山野加右衛門永久による三ッ胴截断を記す金象嵌銘を裏に伴う。本工は法城寺一門に属し、説明書はこの一門を寛文・延宝の頃「江戸で最も多くの人数をもった鍛冶集団」と呼び、多くの良工を輩出したと記す。一門の初代は近江守法城寺正弘であり、貞国は年代的にこれに直ぐ次ぐ。万治三年紀を裏に切った長銘の作が遺存して活動が寛文以前に遡ることを示し、説明書は本工を初代に次ぐ工とし、すでに「万治三年にその作刀をみる」と述べる。藤代の極めは上作である。一派は但馬法城寺の流れを汲み、江戸の家はその分流であって、継いだ貞国の名はここでは法城寺の手を指し、同字の下坂貞国とは別人である。 本工の典型は、説明書が繰り返し初代に似ると名指す手である。小板目つみ、処々肌立ちごころに地沸よくつく地に、直刃を基調として互の目を交じえ、足太く入り、匂深く、小沸つき、砂流し刃中を走り、匂口明るく、帽子は直ぐに小丸へ返る。説明書はこの作柄を一門全体の典型とみなし、ある重要刀剣の刀は代表的な作風をよく示して、その出来が「長曽祢一門に迫るものがあり、同作中の白眉である」と判ぜられ、しばし虎徹とその門に比される。直刃・互の目について説明書は帽子の収まりも同じだと記し、「帽子は直ぐに小丸に返るものが常である」とし、刃文とその返りとが一つの定型として読まれる。 地鉄はより穏やかな見どころである。鍛えは小板目、よくつみ、ときに杢を交え、一刀では刃寄りに柾ごころを交える地に、地沸がつく。晩年のもっとも精緻な刀では地がもっとも冴え、説明書は板目つみ地沸微塵に厚くつき地景細かによく入る地を述べる。これこそ優作が虎徹の一門に比される所以である。その地に焼く刃文は、直刃を基調に浅くのたれごころをおび、小互の目連れて交じり、小足さかんに入り、匂深く沸厚くつき、細かに金筋・砂流しかかり、上半に二重刃・喰違刃を交え、匂口明るく、帽子は先に掃きかける。働きは現存作を通じて一貫し、なかでも砂流しがほぼ全ての作を走って、静かな直刃と互の目を平板に見せぬ。 本工の作は一つの手の二様に分かれる。第一は右に述べた法城寺の典型、直刃・互の目に匂深く帽子直ぐに小丸へ返る手で、説明書はこれを「同派、同工の特色をよく示した典型作の一口」と称する。第二は平成指定の刀にみる晩年の精緻な手で、地は地景の入る精緻な小板目へとつみ、刃には二重刃・喰違刃が加わる。説明書はこの第二の貌を明確に読み、上半の二重刃について「二重刃は法城寺正弘によく見るところであり」と記し、両者の近しい関係の証とみる。指定作はほとんどが在銘で、銘は生ぶ茎に切られた長銘、しばしば太鏨の大振りで、但馬守法城寺橘貞国と切る。その半数は裏に山野加右衛門永久・山野勘十郎久英・柴崎伝左衛門正次らの金象嵌截断銘を伴い、江戸の試刀家の三ッ胴截断を記して、説明書が注目する資料的価値を各作に加える。 本工を分かつものは、他派ではなく初代に対して立てられる。説明書はその手を正弘に酷似するとし、その上で差を精しく標す。地刃の冴えと匂口の力強さにおいて「地刃の冴え、匂口の力強さ等、僅かに及ばない」というのである。この僅かな一点こそ両者を見分ける明示の根拠であり、僅かなだけに却って徴となる。本工自身の地に即した徴は、説明書が立ち返る肯定の側にある。互の目の下の直刃基調、砂流しに乗る匂深、精緻な作の明るい匂口、晩年の地の細かな地景である。法城寺一門において本工は初代に次ぐ最古紀の手であり、正弘の作風を多くの良工を擁する江戸の工房へ伝えた工であって、その作は一門の代表作が比される尺度をなす。 貞国は藤代の極めで上作、刀工大鑑の評価は四五〇万円である。指定の記録は重要刀剣八口にとどまり、国宝・重要文化財・特別重要刀剣を数えず、これは名匠というより一派の優れた手としての位置を示す。説明書は本工の遺例を比較的少ないとし、その小さな一群にあって指定品はほとんどが在銘、多くが截断を帯び、数口は山野家の金象嵌截断銘を伴って資料的価値を加える。大名家や博物館への伝来は記録されず、いずれも私家を経たもので、截断銘が、資料の薄い新刀がしばしば欠く伝来の名を補っている。蒐集の上では、貞国は国宝のように手の届かぬものではないが、稀である。在銘でしばしば截断により年紀をもつ重要刀剣の刀が時に市にかかるにすぎず、匂口明るく名のある試刀家の截断を帯びた出来のよい一口は、探すより俟つに値する初期江戸の在銘作である。



