説明

金無垢 三番叟図目貫 状態:販売中 鑑定書:特別保存刀装具 能楽の祝言曲として知られる「三番叟(さんばんそう)」を題材とした、金無垢の傑作目貫です。 三番叟は、延命長寿、五穀豊穣、そして天下泰平を祈念する極めて縁起の良い画題であり、古来より能楽の幕開けを飾る儀式的な舞として、神事と芸能を繋ぐ特別な地位を占めてきました。 本作は、その躍動感あふれる舞姿を見事に捉えています。重厚な高彫で表現された装束の質感、扇や鈴、そして特徴的な烏帽子の細部に至るまで緻密な彫口が施され、熟達した名工の技量が遺憾なく発揮されています。 素材に金無垢を用いることで、三番叟が持つ祝祭性がより一層際立ち、物質的な価値のみならず、再生と繁栄を願う精神的な輝きをも放っています。 日本美術刀剣保存協会(NBTHK)による特別保存刀装具の鑑定を受けており、江戸期の美意識と古典芸能が融合した、格調高い逸品です。当時の上層階級が嗜んだ洗練された文化背景を今に伝える、資料的価値も極めて高い一双と言えましょう。

Goto Noh Menuki
Tokuho

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流派について

Goto School後藤派

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後藤派は、室町時代中期に初代祐乗が将軍足利義政に仕えて創始した彫金の宗家であり、「日本彫物の元祖」と仰がれ、「古今独歩の鏨師」と賞賛される祐乗を祖として十五代にわたり嫡流の技を継承した。祐乗の作品は東山御物として数多く取り上げられ、後世に名を残した名工は挙って後藤家の祐乗に範をとっている。四代光乗・五代徳乗は織田信長、次いで豊臣秀吉に仕え、大判・分銅・彫物の三役を担い、桃山時代の豪華美を格調高く表示した。幕末には一乗が「後藤家の掉尾を飾る名工」として家風を大成し、門下の荒木東明・中川一勝らが一派の技を継承した。 後藤派の作域は三所物・縁頭・鐔・揃金具と多岐にわたり、赤銅魚子地を基調とした高彫金色絵を家風の根幹とする。金紋裏哺金仕立の小柄笄、金無垢地容彫の目貫など、素材と技法の選択に一貫した格式が認められる。三代乗真は「大振りで力強く、量感の豊かな彫技」を特徴とし、紋の肉取りが豊かで鏨使いが手強く、赤銅の色相も漆黒で麗わしい。桃山期の作には鋤出高彫に金・銀・素銅の象嵌色絵を駆使した豪華絢爛の大名道具が見られ、近世には四分一磨地や朧銀地に甲鋤毛彫・平象嵌を組み合わせた多彩な表現も展開された。龍・獅子・鶏・犀・鯰といった動物意匠から、松竹梅・桐紋・粟穂・四季草花に至るまで画題は広範であり、各代が武家好みの吉祥意匠を格調高く仕上げている。 後藤派に帰せられる作品には「気品があって格調が高く」「力漲る」と評される一貫した品格が通底する。歴代の折紙制度によって初代祐乗以来の作が厳格に鑑定・伝承され、「家彫の誇りは確実に後代に伝わっている」と繰り返し認められる。後藤流に熟達した門弟の作が「後藤家御家彫と見紛うまでの出来」と称されることからも、その規範性の高さが窺える。日本金工史において、後藤派は赤銅魚子地高彫金色絵という技法体系を確立し、室町から明治に至る四百余年の間、彫金の最高規範として君臨した一門である。

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