
WAKIZASHI: SOSHU FUSAMUNE
売却済
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仕様
52 cm
3 cm
作者について
Sue-Soshu Fusamune總宗
総宗は十六世紀初頭、室町後期の永正頃に小田原で鍛えた相州の刀工で、説明書は本工を康春・康国と並べてその名を挙げる。説明書は末相州の伝の中に明確な区別を引く。鎌倉に残った綱広らに対して、小田原に住し北条のもとに鍛えた一群があり、これらを総称して小田原相州と呼ぶ。その作風は基本において綱広類と大差はないが、短寸の姿と、刀身に施す緻密な彫物の二点に分かれると記す。中でも本工は彫において長く名があり、説明書は一口また一口とこれに立ち返って、「殊に総宗の彫は巧緻であると評されており」と記し、その彫を常とする作について「巧緻な刀身彫刻を有するものが常である」と読む。 その彫こそ、まず名を挙げるべきものである。説明書がまずこれを挙げるからである。脇指の樋中・櫃中に、剣に絡む竜の倶利迦羅を浮彫とし、梵字・独鈷柄附剣・三鈷剣・二筋樋を伴い、一口には「八幡大菩薩」の陰刻を見せる。説明書はこの樋中・櫃中の緻密な浮彫を本工の得意とし、最も充実した作にはその構図を末相州にふさわしいものとして、「末相州独特の構図の倶利伽羅」と記す。これに伴う刃文は角がかる互の目乱れで、説明書が小田原相州にまま見られると記す態である。これに互の目丁子・小互の目・尖り刃を交え、焼頭は処々複式風や腰開きの態に割れ、処々刃縁に対して逆がかる。足・葉入り、匂口は締まって匂勝ちに小沸つき、刃中に飛焼を交える。帽子は乱れ込み、ある作では先尖って深く返り、ある作では小丸に終わる。 この刃を載せる地鉄は、肌立った地ではなく締まった鉄である。板目に杢目を交えて比較的につみ、よくつまった地に、優れた作ではよくつんだ小板目を見せ、総体に地沸つき地景入る。これは小田原の立った締まった地で、説明書はその健全を本工の質の一部と読み、一口ならず地刃ともに健全と評する。姿はこの地に応じ、平造あるいは鎬造の脇指で三ツ棟、重ね厚く、身幅広くあるいは尋常で上半に先反りつき、説明書が総宗らによく見られると記す短寸の姿を呈する。記録された諸作にわたって刃文はこの一つの作域の中で広狭を見せ、直調に互の目・丁子ごころを交えた基調から、複式・腰開きの焼頭を伴うより充実した互の目乱れに及び、説明書はそのいずれをも本工の特色をよく示す作風と読む。 その作域の最も明るい端では、刃文は皆焼に開き、説明書はこれを末相州の作風が最も華やかに現れたものとする。ある脇指では互の目が丁子と矢筈風の刃を取り込み、飛焼が広がり、棟に棟焼が現れ、全体が沸よくついた厚い皆焼となって、帽子は焼深く掃きかける。説明書はこの一口を、乱れの中に丁子の目立つ、表に末相州の構図の倶利伽羅を負う作として、「総宗としても華やかな出来映えの一口」と読み、末相州の特色が著しく現れていると見る。同じ記録はまた、一派における本工の立場のもう一面を伝える。景総と本工の連名で銘した脇指、すなわち「景総と総宗の合作の脇指である」もので、小田原相州を代表する二工の合作である。景総が指表に、総宗が指裏に銘を切り、その位置から説明書は景総が先輩格にあると推察するが、両者の関係は明確ではないとする。 この合作はまた本工の系における位置を定める。説明書は景総の作が稀有である一方、総宗の作は比較的多く存することを記し、小田原一派の手は今日おおむね本工自身の在銘脇指を通じて読まれるからである。本工は小田原の同時代工と同じ作域、すなわち締まった匂勝ちの匂口に複式・腰開きの態を伴う角がかる互の目に作るが、説明書は本工をその彫において、すなわち長じるとされる特色において、また地刃の質において一派から分かち、これを本工の特色を傑出して示すものと読む。本工は綱広の鎌倉の面ではなく末相州の小田原の面であり、古い相模の名手の肌立った松皮風の地ではなく締まった板目杢、広いのたれよりも角がかり複式に傾く互の目を、常に緻密な浮彫の彫物とともに運ぶ。その彫を説明書は繰り返し、「殊に総宗の彫りは巧緻であるとの定評がある」と記す。 総宗の認められた作は、昭和五十六年指定の第二十八回から平成二十二年指定の第五十六回にかけての重要刀剣に僅かな数が残り、いずれも在銘の脇指で、二字銘あるいはより長い「相州住総宗作」の形に切り、うち一口は景総との合作である。国宝・重要文化財も特別重要刀剣も記録になく、収集家が出会いうる範囲はこの一群の重要脇指と、その下に位する在銘の作であり、長く私蔵されて時折世に現れるにとどまる。記録された諸作はいずれも大名家や寺社の伝来を伴わず、その品位を支えるのは名高い伝来ではなく、説明書が一口ごとに称える彫と鉄の健全、そして重要の域に達する在銘小田原相州の稀少である。緻密な倶利伽羅を完存し、角がかる互の目あるいは厚い皆焼を地刃ともに健全に保つ在銘の総宗は、末相州小田原の作風を一口に収める優れた手立ての一つであり、鎌倉の大名工よりは出会いやすくとも稀にしか見られず、現れたときには偶然ではなく意を決しての入手となる一口である。
