説明

Ginza Choshuya 東京都中央区銀座3-10-4 月–土 9:30–17:30 "Nami ni Kai" (Shellfish and Wave) motif fuchigashira 極めてユニークな作である。唯一無二といってよいほどの変わった形でありながら、どこかで見たことがあるような不思議な感覚を抱く。似ているのだ、立浪形変り兜に。波そのものを瞬間的に固めてしまったような頭には鋤出し彫りと毛彫で荒々しいうねりと、立ち上がって砕け、広がる波が彫り描かれ、金銀の布目象嵌が施されている。上へ上へと伸びあがって頂点でギュッと丸まったこの形状は爆発的な力が凝縮されているようだ。腰の浅い縁は幅41.5mmと極めて大きく、身幅の広い長大な刀にも対応できる。槌目による陰影に富んだ地鉄は黒々として鍛え良く、全面に波と貝が鋤出彫りと毛彫、金銀の布目象嵌であらわされている。おそらく、軽量で堅牢、実用の理に適った越中形兜を発案し、そこに誰もが振り返るような山鳥の羽毛の頭立を飾った細川三斎公の美意識と時代の風に触発されたのであろう。強烈な個性を見る者に印象付ける甚五の本領が遺憾なく発揮された作である。

波に貝図縁頭 無銘 甚五
売切れ
Tokuho売切れ

波に貝図縁頭 無銘 甚五

縁頭

売却済

世界81社の刀剣商を横断追跡 · 価格履歴 · 売却アーカイブ

作者について

Shimizu Jingo甚五

2 特別重要刀剣12 重要刀剣

志水甚五は、肥後金工を代表する林・平田・西垣・志水の四家の一つであり、初代甚五は平田彦三の甥と伝えられ、寛永九年(1632年)に彦三と共に細川三斎忠興に従い、豊前から肥後国八代に移住したとされる。肥後金工は皆初代が細川三斎忠興に抱えられ、指導を受けたことで発展盛行をみた。甚五は肥後金工中、最も異色の存在として知られ、代々その作風は継承され、肥後金工の大きな一派として連綿と栄えた。初代甚五には有銘作は皆無である。 甚五の作風の特色は、肥後の諸金工の中にあって、ひときわ強烈な個性を発揮することにあり、槌目焼手仕立ての鉄地に、猛禽や鳥・梟・雨龍などを大きく真鍮据文象嵌で力強く表す作風を確立した。表は猛禽・鶏・ふくろう・雨龍などを大きく真鍮据文象嵌で力強く表し、一方裏は空間を大きくとって文様を小さく配し、彩色や肉置きも穏やかにして表裏のバランスをとり、寂の趣を深くするよう配慮している点も特徴として挙げられる。一見表裏のバランスが非対称に感ぜられるものの、そこには甚五の卓越した技量と独特の世界観があり、総体的にきわめて均整のとれた趣の深い作品を数多残している。得意とした意匠として、鷲、梟、蛸などが挙げられ、松との組み合わせも多く見られる。また、素銅槌目地に蟹と勝虫を表裏に配するなど、素材や意匠において多様な試みが見られる点も特筆される。地鉄は鉄槌目地とし、真鍮据文象嵌を多用するほか、銀布目象嵌を施すものもある。鐔の形状は撫角形、撫角あおり形、泥障形などが見られ、櫃孔は片櫃孔、両櫃孔、変り孔などがある。 志水甚五の作品は、大胆で野趣に富んだ作風が特徴であり、その作風は他に比類なきものとして高く評価されている。「大模様の真鍮据文象嵌に強烈な個性を表出」しており、「図柄が頗る近代的感覚にうったえる」とも評されるように、斬新な意匠と大胆な構図は、今日においても色褪せることなく、鑑賞者を魅了し続けている。肥後金工における異色の存在でありながら、その独特の作風は後代にも大きな影響を与え、肥後金工の一派として確固たる地位を築いた。

刀剣商

銀座長州屋

ginza.choshuya.co.jp

売切れ