二世紀半の泰平のあいだ、刀は武器である以上に武士の身分の標章であった。江戸の実証と大坂の華やぎのように都市ごとの作風が育ち、時代の末には需要も細っていく。
姿の美しいこの刀は、時代を経た研ぎの状態も非常に良く、大切に扱われてきたことが伺えます。 刃文は丁子乱れに尖り刃が交じる華やかな構成で、江戸時代(17世紀)に打たれた一振りです。 肌は小板目肌が美しく詰んでおります。 この刀は単なる鑑賞用ではなく、当時の武士が実戦を想定して帯刀していた「真の侍の刀」としての風格を備えています。 刀身には二筋樋(ふたすじひ)が掻かれ、時代の経過による多少の肌の荒れは見られるものの、全体として研ぎの状態は良好で、鑑定書も付属しております。 外装(拵)もまた秀逸です。 鞘は深みのある光沢を湛えた濃茶の高級漆塗りで、一際目を引く存在感があります。 柄糸と下げ緒には鮮やかな深青色が用いられ、統一感のある美しさを演出しています。 目貫は赤銅地に金の色絵を施した古武具図、縁頭は赤銅地に繊細な鳥の浮彫が施された名品です。 さらに、美しい鷹の意匠が施された上質な鉄地鍔が、この一振りの格調をさらに高めています。 銘:無銘 時代:江戸(17世紀〜18世紀) 長さ:27-1/2 インチ(約69.85cm) 反り:24.0 mm 元幅:29.5 mm 先幅:19.6 mm 元重:7.1 mm 造り:鎬造 棟:庵棟 中心:生(うぶ) 鍛え:小板目 刃文:乱れ丁子 鋩子:丸 状態:研ぎ良好 鑑定書:正真(伝 紀州石堂) 長さ:貮尺参寸壱分有之 日付:平成二十五年八月四日 鑑定機関:日本刀剣保存会(NTHK) 第 17,889号 銘文:無銘 鍛:小板目 刃紋:小丁子乱れ 鋩子:直ぐに小丸返り 彫刻:二筋樋 中心:目釘穴1個、鑢目:切 備考:延宝頃(1673-1681) 審査員捺印:4印 【紀州石堂派について】 石堂派の源流は近江国にあります。家祖については諸説ありますが、室町時代に備中から近江へ移住し、石堂寺の近辺に住した備前伝の刀工群を起源とするのが通説です。 江戸時代に入ると石堂派は各地に分かれ、近江に留まった一派は「近江石堂」、江戸へ移った一派は「江戸石堂」、筑前福岡藩に仕えた一派は「福岡石堂」と呼ばれました。 そして、近江から紀伊国へ移住した一派が「紀州石堂」です。紀州石堂からは後に京都へ移る「京石堂」や、当時商業の中心地として栄えた大坂へ移る「大坂石堂」が派生しました。 狭義の「紀州石堂」は、主に紀州で活動した土佐将監為康、その子である陸奥守為康、そして二代にわたる康広(後に大坂へ移る備中守康広とは別)などの刀工を指します。 広義では、大坂へ移住した後のグループやその直弟子までを含み、慶長・寛永年間から、寛文・延宝頃に大坂で制作された作品までを「紀州石堂」と分類することもあります。 最新情報をご希望の方はこちら Nihonto Antiquesの最新ニュースや更新情報をお届けするメールマガジンにぜひご登録ください。 【登録する】 ご登録ありがとうございました。 ご入力いただいたメールアドレスは厳重に管理され、当サイトからの更新情報の送信以外には使用いたしません。





新刀 · 近江
現在45点販売中
石堂派は、近江国蒲生郡石堂村の刀工に淵源を有する一門である。慶長から元和・寛永にかけて、これらの刀工は近江よりまず京都へ上り、のちに江戸へ下って一派を成したと伝えられ、これがいわゆる江戸石堂の祖となった。武蔵大掾是一はその祖と称され、日置出羽守光平・常光・越前守宗弘らと共に江戸石堂の名を大いに高めた。中でも対馬守橘常光は、日置を姓とし生国を近江国蒲生郡とする一派の代表工で、従来は光平の兄とされてきたが、年紀作を逆算すると光平の方が六歳年長であり、また常光は橘氏、光平は源氏を名乗っていることから、兄弟であるという通説には疑問がもたれている。一門はやがて各地へ広がり、是一門からは是次が出て九州に活躍し福岡石堂の繁栄をもたらした。紀州にあっては平安城安広が紀州名草郡和歌山に移って作刀し、また備中守橘康広(富田五郎左衛門)が紀州石堂派を代表し、のちに大坂に移って大坂石堂派の始祖となった。河内守康永の門人多々良長幸もまた紀州より大坂に移り、近江には佐々木善四郎一峯らがあって、一派は江戸・大坂・紀州・福岡・近江の各地に系統を伝えた。 石堂派の作風は、御家芸ともいうべき備前伝にあり、映りの立った鍛えに丁子乱れを得意とする点に一貫した特色がある。鍛えは板目つみ、杢・流れ肌を交え、地沸微塵につき、乱れ映りが鮮やかに立つ。刃文は丁子乱れを主調とし、大丁子・頭の丸い丁子・小丁子・互の目・小互の目・尖りごころの刃などを交え、重花丁子・袋丁子をも交えて足・葉よく入り、華やかとなる。常光の作には焼に高低が見られ、焼頭が鎬にかかる程の大出来の丁子を焼くものがあって、古作一文字を髣髴とさせる。安広は互の目・小互の目・箱刃風・尖りごころの刃などを交えて総じて焼高く、棟焼よく入り、金筋・砂流し・沸筋頻りにかかる放胆な焼刃を示す。康広は逆ごころをおびた華やかな丁子乱れを得意とし、長幸は石堂派本来の一文字を狙った丁子乱れの作と、末備前に範をとった腰のひらいた互の目を主調とする作の二様を遺す。総じて匂口の明るく冴える点が、一門諸工に通じる特色である。 評価としては、石堂派は新刀・新々刀の時代にあって備前伝の作風を伝え、丁子乱れの華やかな出来をよく示した点に意義が認められる。常光は焼に高低のある華やかな丁子乱れを焼いて本領を発揮し、その典型作は同工中の優品・最高傑作と称される。安広は長寸・身幅広く重ね厚い堂々たる姿態に放胆な焼刃を加え、新刀を代表する一工としてその技倆が遺憾なく発揮されている。康広は覇気に富んだ作柄を仕上げ、その一口は薩摩国島津家に伝来したものも知られる。長幸は師に優る技量の持主と評され、匂口のふっくらとした出来を遺す。各地に展開しながら備前伝の本領を堅持し、江戸時代初期より長く続いたこの一門は、新刀・新々刀の世にあって備前の作風を伝えた代表的な流派として高く位置づけられている。 詳しく見る →
二世紀半の泰平のあいだ、刀は武器である以上に武士の身分の標章であった。江戸の実証と大坂の華やぎのように都市ごとの作風が育ち、時代の末には需要も細っていく。
NTHKの中心的な鑑定書で、相応の出来を備えた作に発行されます。在銘作は銘の正真を、無銘作は審査員による刀工・流派の極めを示します。点数を記す詳細な審査表が付されます。
NTHK(日本刀剣保存会)は、NBTHK(1948年設立)に先立つ1910年に創立された、日本で最も古い刀剣鑑定団体です。長く会を率いた会長の没後、NTHKとNTHK-NPOの二つに分かれ、いずれも審査を続けています。NTHKの鑑定書は、点数と審査員の所見を併記する詳細な審査表が特徴で、特に無銘作の極めに定評があります。
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姿の美しいこの刀は、時代を経た研ぎの状態も非常に良く、大切に扱われてきたことが伺えます。 刃文は丁子乱れに尖り刃が交じる華やかな構成で、江戸時代(17世紀)に打たれた一振りです。 肌は小板目肌が美しく詰んでおります。 この刀は単なる鑑賞用ではなく、当時の武士が実戦を想定して帯刀していた「真の侍の刀」としての風格を備えています。 刀身には二筋樋(ふたすじひ)が掻かれ、時代の経過による多少の肌の荒れは見られるものの、全体として研ぎの状態は良好で、鑑定書も付属しております。 外装(拵)もまた秀逸です。 鞘は深みのある光沢を湛えた濃茶の高級漆塗りで、一際目を引く存在感があります。 柄糸と下げ緒には鮮やかな深青色が用いられ、統一感のある美しさを演出しています。 目貫は赤銅地に金の色絵を施した古武具図、縁頭は赤銅地に繊細な鳥の浮彫が施された名品です。 さらに、美しい鷹の意匠が施された上質な鉄地鍔が、この一振りの格調をさらに高めています。 銘:無銘 時代:江戸(17世紀〜18世紀) 長さ:27-1/2 インチ(約69.85cm) 反り:24.0 mm 元幅:29.5 mm 先幅:19.6 mm 元重:7.1 mm 造り:鎬造 棟:庵棟 中心:生(うぶ) 鍛え:小板目 刃文:乱れ丁子 鋩子:丸 状態:研ぎ良好 鑑定書:正真(伝 紀州石堂) 長さ:貮尺参寸壱分有之 日付:平成二十五年八月四日 鑑定機関:日本刀剣保存会(NTHK) 第 17,889号 銘文:無銘 鍛:小板目 刃紋:小丁子乱れ 鋩子:直ぐに小丸返り 彫刻:二筋樋 中心:目釘穴1個、鑢目:切 備考:延宝頃(1673-1681) 審査員捺印:4印 【紀州石堂派について】 石堂派の源流は近江国にあります。家祖については諸説ありますが、室町時代に備中から近江へ移住し、石堂寺の近辺に住した備前伝の刀工群を起源とするのが通説です。 江戸時代に入ると石堂派は各地に分かれ、近江に留まった一派は「近江石堂」、江戸へ移った一派は「江戸石堂」、筑前福岡藩に仕えた一派は「福岡石堂」と呼ばれました。 そして、近江から紀伊国へ移住した一派が「紀州石堂」です。紀州石堂からは後に京都へ移る「京石堂」や、当時商業の中心地として栄えた大坂へ移る「大坂石堂」が派生しました。 狭義の「紀州石堂」は、主に紀州で活動した土佐将監為康、その子である陸奥守為康、そして二代にわたる康広(後に大坂へ移る備中守康広とは別)などの刀工を指します。 広義では、大坂へ移住した後のグループやその直弟子までを含み、慶長・寛永年間から、寛文・延宝頃に大坂で制作された作品までを「紀州石堂」と分類することもあります。 最新情報をご希望の方はこちら Nihonto Antiquesの最新ニュースや更新情報をお届けするメールマガジンにぜひご登録ください。 【登録する】 ご登録ありがとうございました。 ご入力いただいたメールアドレスは厳重に管理され、当サイトからの更新情報の送信以外には使用いたしません。





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石堂派は、近江国蒲生郡石堂村の刀工に淵源を有する一門である。慶長から元和・寛永にかけて、これらの刀工は近江よりまず京都へ上り、のちに江戸へ下って一派を成したと伝えられ、これがいわゆる江戸石堂の祖となった。武蔵大掾是一はその祖と称され、日置出羽守光平・常光・越前守宗弘らと共に江戸石堂の名を大いに高めた。中でも対馬守橘常光は、日置を姓とし生国を近江国蒲生郡とする一派の代表工で、従来は光平の兄とされてきたが、年紀作を逆算すると光平の方が六歳年長であり、また常光は橘氏、光平は源氏を名乗っていることから、兄弟であるという通説には疑問がもたれている。一門はやがて各地へ広がり、是一門からは是次が出て九州に活躍し福岡石堂の繁栄をもたらした。紀州にあっては平安城安広が紀州名草郡和歌山に移って作刀し、また備中守橘康広(富田五郎左衛門)が紀州石堂派を代表し、のちに大坂に移って大坂石堂派の始祖となった。河内守康永の門人多々良長幸もまた紀州より大坂に移り、近江には佐々木善四郎一峯らがあって、一派は江戸・大坂・紀州・福岡・近江の各地に系統を伝えた。 石堂派の作風は、御家芸ともいうべき備前伝にあり、映りの立った鍛えに丁子乱れを得意とする点に一貫した特色がある。鍛えは板目つみ、杢・流れ肌を交え、地沸微塵につき、乱れ映りが鮮やかに立つ。刃文は丁子乱れを主調とし、大丁子・頭の丸い丁子・小丁子・互の目・小互の目・尖りごころの刃などを交え、重花丁子・袋丁子をも交えて足・葉よく入り、華やかとなる。常光の作には焼に高低が見られ、焼頭が鎬にかかる程の大出来の丁子を焼くものがあって、古作一文字を髣髴とさせる。安広は互の目・小互の目・箱刃風・尖りごころの刃などを交えて総じて焼高く、棟焼よく入り、金筋・砂流し・沸筋頻りにかかる放胆な焼刃を示す。康広は逆ごころをおびた華やかな丁子乱れを得意とし、長幸は石堂派本来の一文字を狙った丁子乱れの作と、末備前に範をとった腰のひらいた互の目を主調とする作の二様を遺す。総じて匂口の明るく冴える点が、一門諸工に通じる特色である。 評価としては、石堂派は新刀・新々刀の時代にあって備前伝の作風を伝え、丁子乱れの華やかな出来をよく示した点に意義が認められる。常光は焼に高低のある華やかな丁子乱れを焼いて本領を発揮し、その典型作は同工中の優品・最高傑作と称される。安広は長寸・身幅広く重ね厚い堂々たる姿態に放胆な焼刃を加え、新刀を代表する一工としてその技倆が遺憾なく発揮されている。康広は覇気に富んだ作柄を仕上げ、その一口は薩摩国島津家に伝来したものも知られる。長幸は師に優る技量の持主と評され、匂口のふっくらとした出来を遺す。各地に展開しながら備前伝の本領を堅持し、江戸時代初期より長く続いたこの一門は、新刀・新々刀の世にあって備前の作風を伝えた代表的な流派として高く位置づけられている。 詳しく見る →
二世紀半の泰平のあいだ、刀は武器である以上に武士の身分の標章であった。江戸の実証と大坂の華やぎのように都市ごとの作風が育ち、時代の末には需要も細っていく。
NTHKの中心的な鑑定書で、相応の出来を備えた作に発行されます。在銘作は銘の正真を、無銘作は審査員による刀工・流派の極めを示します。点数を記す詳細な審査表が付されます。
NTHK(日本刀剣保存会)は、NBTHK(1948年設立)に先立つ1910年に創立された、日本で最も古い刀剣鑑定団体です。長く会を率いた会長の没後、NTHKとNTHK-NPOの二つに分かれ、いずれも審査を続けています。NTHKの鑑定書は、点数と審査員の所見を併記する詳細な審査表が特徴で、特に無銘作の極めに定評があります。
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