吉岡因幡介 鐔 本作は吉岡因幡介による、赤銅魚子地の秀逸な鐔です。水面と空を鋭い対角線で分かつ、いささか珍しい意匠が目を引きます。 寸法:6.82 cm x 6.29 cm x 3.6 mm ロバート・ヘインズ氏の鑑定(Haynes H 01894.0)によれば、本作は吉岡因幡介の手によるものです。吉岡家は代々「因幡介」を称しましたが、銘を切るようになったのは後代からであり、銘振りは「因幡介」あるいは「吉岡因幡介」と見えます。歴代の当主は等しく高い官位を保持し、また分家に至るまでその技量は極めて高い水準にありました。 江戸時代、吉岡家は徳川将軍家の抱え工として幕府より直接禄を食んでいました。その作品の格調は後藤宗家の名品に比肩するものであり、事実、吉岡の作が後藤本家の作として極められた例も少なくありません。そのため、現存する吉岡銘の作品は後藤家に比して希少と言えます。 (参考文献:『刀装小道具銘字大系』第一巻 115-118頁) 状態としては、掲載写真の通り僅かな打ち傷があり、表の切羽台には漆が塗布されています。 初代:重次(H 08515.0)承応二年(1653)没 二代:重義(H 01542)寛文十一年(1671)没 三代:重長(H 08393)元文五年(1740)没 四代:重寛(H 08262)宝暦三年(1753)没 五代:泰次(H 11328)宝暦九年(1759)没 六代:清次(H 03381)享和二年(1802)没 七代:重貞(H 08448)明治二十六年(1893)没


吉岡派
江戸
在銘
家彫
現在14点販売中
吉岡家は徳川幕府の抱え金工として百俵十人扶持を支給された権威ある家柄である。初代重次が慶長年間に徳川家康に召し出されて以来、幕末の九代重貞に至るまで繁栄を誇った。歴代にわたって藤原姓を冠称し、二代からは因幡介の官位を受領している。しかし上代の作は幕府への納品であったため全て無銘であり、「吉岡因幡介」と五字銘に切るようになったのは五代易次あたりからと考えられる。個銘を切らぬため代別は困難であるが、宝永三年に先代重長の隠居により理左衛門を襲名し、宝永七年に因幡介に叙任された四代重廣、および個銘と行年銘を添えた作品が現存する七代照次が、指定作品群において特に重要な存在として浮かび上がる。 吉岡流の作風は、赤銅魚子地に高彫・金色絵を施す堅実精巧な彫口を最大の特色とする。後藤家と同様の素材と技法を用いながらも、将軍家御用の品格にふさわしい格調の高さを一貫して保っている。その技術の幅は広く、金据文・金平象嵌・金象嵌を巧みに使い分け、時に墨絵風の筆勢をそのまま金象嵌で表現する妙技も見せる。また金・銀・四分一・素銅など多種の色金を用いた色絵を的確に施し、豪華さの中にも格調に満ちた出来口を示す。制作の特筆すべき点は、鐔・縁頭・小柄・笄・目貫を同一の意匠と技法で統一した一作金具・総金具の制作に秀でていることである。丸に三葉葵紋散し、立沢瀉紋、稲穂文、竜虎図など、主題を全ての金具に一貫させ、赤銅魚子地に金色絵で格調高く仕上げる手法は吉岡家の真骨頂といえる。糸巻太刀拵や大小拵といった武家の儀仗に用いる拵形式において、総金具を一手に担う力量は、幕府抱え金工としての真価を遺憾なく発揮したものである。 吉岡家は装剣金工界の名門として、徳川将軍家および有力大名家の最も格式高い刀装を担った。紀州徳川家二代光貞の好みにより貞享三年に制作されたと伝える糸巻太刀拵、五代将軍綱吉の指料であった太刀の拵で後に十四代将軍家茂が所用したもの、加賀前田家伝来の糸巻太刀拵など、将軍家・御三家・有力外様大名への納品が指定品に確認される。説示において「後藤本家にも劣らぬ格調を備え持った」[[c:1]]と評される点は、幕府お抱えの家彫として到達した芸格の高さを端的に示している。七代照次による個銘・行年銘を備えた親子鶏図三所物は、吉岡家の代別研究に不可欠な資料的価値を有し、四代重廣の在銘作もまた江戸中期の製作年代を知る上で貴重な金工資料とされる。将軍家の御用を務めた吉岡因幡介の真価を十分に発揮した作品群は、幕府抱え金工の頂点に位置する家系の力量と矜持を今日に伝えている。 詳しく見る →
販売店の出品ページで鑑定書を確認できませんでした。日本刀および刀装具は通常、NBTHK(または NTHK)の鑑定を受けます。鑑定書がない場合、極めは販売店の見解にとどまり、第三者による確認は行われていません。ご購入前に販売店へ鑑定書の有無をお問い合わせのうえ、慎重にご判断ください。
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吉岡因幡介 鐔 本作は吉岡因幡介による、赤銅魚子地の秀逸な鐔です。水面と空を鋭い対角線で分かつ、いささか珍しい意匠が目を引きます。 寸法:6.82 cm x 6.29 cm x 3.6 mm ロバート・ヘインズ氏の鑑定(Haynes H 01894.0)によれば、本作は吉岡因幡介の手によるものです。吉岡家は代々「因幡介」を称しましたが、銘を切るようになったのは後代からであり、銘振りは「因幡介」あるいは「吉岡因幡介」と見えます。歴代の当主は等しく高い官位を保持し、また分家に至るまでその技量は極めて高い水準にありました。 江戸時代、吉岡家は徳川将軍家の抱え工として幕府より直接禄を食んでいました。その作品の格調は後藤宗家の名品に比肩するものであり、事実、吉岡の作が後藤本家の作として極められた例も少なくありません。そのため、現存する吉岡銘の作品は後藤家に比して希少と言えます。 (参考文献:『刀装小道具銘字大系』第一巻 115-118頁) 状態としては、掲載写真の通り僅かな打ち傷があり、表の切羽台には漆が塗布されています。 初代:重次(H 08515.0)承応二年(1653)没 二代:重義(H 01542)寛文十一年(1671)没 三代:重長(H 08393)元文五年(1740)没 四代:重寛(H 08262)宝暦三年(1753)没 五代:泰次(H 11328)宝暦九年(1759)没 六代:清次(H 03381)享和二年(1802)没 七代:重貞(H 08448)明治二十六年(1893)没


吉岡派
江戸
在銘
家彫
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吉岡家は徳川幕府の抱え金工として百俵十人扶持を支給された権威ある家柄である。初代重次が慶長年間に徳川家康に召し出されて以来、幕末の九代重貞に至るまで繁栄を誇った。歴代にわたって藤原姓を冠称し、二代からは因幡介の官位を受領している。しかし上代の作は幕府への納品であったため全て無銘であり、「吉岡因幡介」と五字銘に切るようになったのは五代易次あたりからと考えられる。個銘を切らぬため代別は困難であるが、宝永三年に先代重長の隠居により理左衛門を襲名し、宝永七年に因幡介に叙任された四代重廣、および個銘と行年銘を添えた作品が現存する七代照次が、指定作品群において特に重要な存在として浮かび上がる。 吉岡流の作風は、赤銅魚子地に高彫・金色絵を施す堅実精巧な彫口を最大の特色とする。後藤家と同様の素材と技法を用いながらも、将軍家御用の品格にふさわしい格調の高さを一貫して保っている。その技術の幅は広く、金据文・金平象嵌・金象嵌を巧みに使い分け、時に墨絵風の筆勢をそのまま金象嵌で表現する妙技も見せる。また金・銀・四分一・素銅など多種の色金を用いた色絵を的確に施し、豪華さの中にも格調に満ちた出来口を示す。制作の特筆すべき点は、鐔・縁頭・小柄・笄・目貫を同一の意匠と技法で統一した一作金具・総金具の制作に秀でていることである。丸に三葉葵紋散し、立沢瀉紋、稲穂文、竜虎図など、主題を全ての金具に一貫させ、赤銅魚子地に金色絵で格調高く仕上げる手法は吉岡家の真骨頂といえる。糸巻太刀拵や大小拵といった武家の儀仗に用いる拵形式において、総金具を一手に担う力量は、幕府抱え金工としての真価を遺憾なく発揮したものである。 吉岡家は装剣金工界の名門として、徳川将軍家および有力大名家の最も格式高い刀装を担った。紀州徳川家二代光貞の好みにより貞享三年に制作されたと伝える糸巻太刀拵、五代将軍綱吉の指料であった太刀の拵で後に十四代将軍家茂が所用したもの、加賀前田家伝来の糸巻太刀拵など、将軍家・御三家・有力外様大名への納品が指定品に確認される。説示において「後藤本家にも劣らぬ格調を備え持った」[[c:1]]と評される点は、幕府お抱えの家彫として到達した芸格の高さを端的に示している。七代照次による個銘・行年銘を備えた親子鶏図三所物は、吉岡家の代別研究に不可欠な資料的価値を有し、四代重廣の在銘作もまた江戸中期の製作年代を知る上で貴重な金工資料とされる。将軍家の御用を務めた吉岡因幡介の真価を十分に発揮した作品群は、幕府抱え金工の頂点に位置する家系の力量と矜持を今日に伝えている。 詳しく見る →
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