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概要·鑑定·指定·刀姿·銘·流派
概要鑑定指定刀姿銘流派
  1. 流派
  2. 保昌
  3. 貞興

Hosho Sadaoki

貞興

特重
巻 8, 番 9 · 短刀

Hosho Sadaoki

貞興

評価作品7点

国大和時代Teiji (1362–1368)時代区分南北朝流派Hosho伝法大和伝刀工大鑑550(上位23%)種別刀工コードSAD602
3特別重要刀剣4重要刀剣

概要

貞興は大和保昌の刀工で、大和国高市郡に在住し、鎌倉時代の末葉に活躍した。剣書はその時代を元徳頃に置き、貞宗の子で貞吉門とも、貞清の子とも伝える。貞吉・貞清・貞光らと共に「貞」の字を一派の通字とする上手である。保昌は他の大和の諸派と分かたれて個性の顕わな一派であり、説明書もそう記して、その作風を「大和五派の中で最も特色が顕著で」あるとする。そこに見分けられるのは、整然たる柾目鍛え、進むにつれてほつれる沸の強い直刃、すげなく焼き詰める帽子、檜垣にかける茎に、全作風を懸けた一派の姿である。貞興はその作風を存分に読み取れる手の一人である。

まず地鉄である。在銘・無銘を問わず各作に、柾目肌のよく整いつんだものが描かれ、時に流れごころを帯び、地沸細かにつき地景入り、つんだ短刀には棟寄りに沸映りが立つ。柾目こそ終始変わらぬ見どころで、説明書が保昌の特色とする整然たる柾目である。その地に対して刃文は比較的おだやかで、匂深い直刃に小沸よくつき匂口冴える。さりとて平凡ではない。刃は肌目にからんで頻りにほつれ、刃縁に打のけ・二重刃・喰違刃を集め、金筋・砂流しがかかり、刃を区際まで焼き込む。これは備前の丁子房状の刃ではなく、柾目地に対をなす働きである。

帽子がその極めを締めくくる。記録のある各作で帽子は直ぐにさかんに掃きかけて焼詰めとなり、一部の短刀は表に小丸ごころに返って終わる。説明書は保昌五郎一流の事として『紛寄論』を引き、その手を一行に収めて、「柾目鍛も目に立ててあらはし、帽子すげなく焼詰め、かくれはなし」と述べる。また一派の通例として、物打より上で「物打辺から上が焼巾が広くなり一段と沸がつよくつく」とも記すが、貞興の現存する短刀はその振幅のおだやかな側に寄る。

その記録は二つの形に分かれる。主となるのは在銘の平造短刀で、小振りに身幅は細めから尋常、重ねことに厚く、古調の内反りを見せ、茎は生ぶで檜垣鑢、二字銘・藤原貞興の四字銘あるいは長銘を切る。これに対して、極めて稀な大磨上無銘の太刀が本工と極められる。細身で磨上げ、柾目よく整い、刃文は中直刃調に互の目を交え、ほつれ・二重刃・喰違刃・棟焼に破られる。説明書はその太刀の少なさを強調し、貞興の「太刀の作例は極めて稀」とする。現存する作に年紀あるものは一つもなく、説明書は通説を改めて、銘鑑の貞治の時代は「貞治とあるのはやや物の上から鑑ては時代を下げすぎている」とする。

貞興を自らの一派の中に位置づけるのは、個々の見どころよりも、造込みと手のおだやかさである。一派の諸工に際立った個性は見出しにくい。説明書は慎重に線を引いて、貞吉の柾目は荒く沸の強いものであるが、やや時代の下った手は地刃ともにおだやかで綺麗になるとする。まさにこの地に拠って、ある無銘の短刀が本工に極められ、判者は「小振りの造込みより、貞興の極めが妥当と思われる」と述べる。本工の小振りで重ねの厚い品のよい短刀は、その対比の基準となり、保昌の手の静かで綺麗な側に立つ。

収集の観点では、貞興は稀な鎌倉末期の名であり、その記録は最上の指定ではなく少数の作を通じている。国宝はなく、重要文化財もない。その立場は特別重要刀剣・重要刀剣の数口に拠り、ここに七口を数え、うち三口が特別重要刀剣に挙がる。最上は特別重要刀剣の在銘短刀で、説明書はその地刃が保昌派全体の特色を余すところなく示して健全で保存も頗る良いとし、生ぶ在銘であることをいよいよ貴重とする。在銘の太刀は金梨子地菊桐紋の糸巻太刀拵を伴って残り、太刀のうち二口は『光山押形』に所載する。これらの作に現存の所持者の記録はなく、一派の来歴も乏しいため、貞興に出会うことは稀であり、在銘の作、わけても太刀は、私蔵の収集家が接するには稀なものであって、世に出れば保昌の作風を明らかに語る一証となる。

鑑定

一人の大和保昌の手を二つの記録に分かつ:内反る重ね厚い小振りの在銘平造短刀に見るつんだ柾目と、ほつれ・二重刃・打のけに乱れた静かな直刃と、本工と極められた極めて稀な大磨上無銘の太刀に見るよく整った柾目と、互の目を交え、ほつれ・二重刃・棟焼のかかる中直刃調

貞興は大和保昌の刀工で、大和国高市郡に在住し、剣書は鎌倉時代末葉の元徳頃に置く。貞宗の子で貞吉門とも、貞清の子とも伝え、貞吉・貞清・貞光らと共に「貞」の字を通字とする一派の上手に数えられる。説明書は保昌を大和五派の中でも最も個性の顕著な一派とし、整然たる柾目鍛えの名手とし、貞興をその作風を存分に示す手とする。すなわち柾目肌よくつんだ地に地沸細かにつき地景入り、つんだ作には棟寄りに沸映り立ち、これに静かな直刃を焼いて肌目にからんで頻りにほつれ、刃縁に打のけ・二重刃・喰違刃を交え砂流し・金筋がかかり、帽子はさかんに掃きかけて焼詰めとなり、茎は生ぶで檜垣鑢をかける。その記録は、重ねの厚い小振りの在銘平造短刀を主とし、説明書は最上のものを保昌派全体の特色を存分に示す代表作とし、これに極めて稀な大磨上無銘の太刀を対置する。在銘作は極めて少なく年紀作を見ず、極めは個性ではなく保昌の特色によるが、説明書は通説の貞治の時代をやや下げすぎとする。

鑑定の決め手

他の大和諸派(手掻・千手院、板目主体)にはない特徴

直刃が柾目の肌目にからんで頻りにほつれ、柾目地に対をなす働きとなる。打のけ・二重刃・喰違刃が刃縁に集まり、備前の丁子房状の刃とは異なる

帽子は直ぐにさかんに掃きかけて焼詰めとなる大和の所作で、一部の短刀は表に小丸ごころに返る。説明書は焼詰めの帽子を一派の通例の特色とする

つんだ柾目地には棟寄りに沸映りが立ち、現れれば精良な保昌の地を補強する細部であるが、それ自体は典型の見どころではない

作風の変遷

在銘の平造短刀(典型の手)

本工の典型の記録は在銘の平造短刀で、庵棟または三ツ棟、小振りで身幅細めから尋常に重ねことに厚く、古調の内反りを見せ、茎は生ぶで先をぶっ切りまたは浅い栗尻に檜垣鑢をかけ、二字銘・藤原貞興の四字銘あるいは長銘を切る。地鉄こそ見どころで、柾目肌よくつんで時に流れごころを帯び、地沸細かによくつき地景入り、つんだ作には棟寄りに沸映りが立つ。その地に静かな直刃を匂深く焼き、小沸よくつき匂口冴え、肌目にからんで頻りにほつれ、打のけ・二重刃・喰違刃を交え、時に僅かに小互の目を交え、金筋・砂流しがかかり、区際を焼き込む。帽子は直ぐにさかんに掃きかけて焼詰めとなり、一部は表に小丸ごころに返る。説明書は最上の特別重要刀剣の小振りの短刀を、地刃余すところなく保昌派全体の特色を存分に示し健全で保存も頗る良いとし、生ぶ在銘であることを貴重とする。

姿 Sugata
地鉄 Jigane
刃文 Hamon
帽子 Bōshi

大磨上無銘の太刀(稀な放胆の作)

記録のもう一つの面は、無銘ながら本工と極められた稀な大磨上の太刀で、在銘の太刀は僅かに数口を見るのみである。細身で磨上げ、反りやや浅く、鋒は小鋒または中鋒の詰まったものとなり、茎は大磨上で元に檜垣、後に筋違の鑢をかける。柾目肌よく整い地沸つく。その地に中直刃調に互の目を交えた刃を焼き、ほつれて処々二重刃となり、喰違刃・打のけ・湯走り・棟焼を交え、砂流しかかり小沸よくつく。帽子は直ぐに掃きかけて焼詰め、佩表は小丸に返る。説明書はこれをあらゆる点から保昌の作と首肯し、在銘の貞興の太刀を一派屈指の稀少な記録に数え、一口は光山押形に所載するとし、地刃は此の派の典型的な作風を示して余すところがないとする。

姿 Sugata
地鉄 Jigane
刃文 Hamon
帽子 Bōshi
研究

説明書は、貞興が剣書に貞宗の子で貞吉門とあり、一説に貞清の子とされ、元徳頃に置かれるが、在銘作は極めて少なく年紀作を見ずと記す。二字銘・藤原貞興の四字銘・長銘のものを太刀・短刀ともに見るが、太刀の作例は極めて稀である。

時代について説明書は、銘鑑に見る貞治の時代は現存する作の上から鑑ては時代を下げすぎている感があるとし、ただし現存するものに年紀のある作は皆無であると断る。よって通説の位置づけは鎌倉末期へと改められる。

指定

国宝—
重要文化財—
重要美術品—
御物—
特別重要刀剣3
重要刀剣4

名工ランク

0.12 (指定作品7点)

刀工の上位16%

刀姿

評価作品7点の分布

銘

評価作品7点の銘の種類

販売中

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