百川

越後伝法相州伝コードNS-Momokawa
国宝
重要文化財2
重要美術品
御物
特別重要刀剣1
重要刀剣10
13指定品総数
3名工数
62%在銘 62%
100%名工帰属 100%
3現在の出品

概要

起源

百川派は、越後国の地名「桃川」に由来する一派であり、鎌倉時代末期から南北朝時代を経て室町時代にかけて活躍した刀工群である。一派の祖と目される甘呂俊長は、近江国高木の産で、古来高木貞宗の門人と伝えられている。しかし現存する在銘の太刀・短刀を見るに、俊長の作風には貞宗に通じる処が乏しく、むしろ貞宗とほぼ同時代の刀工とみるべきものであって、その地刃は総じて大和風が強い。

桃川の地に長吉と名乗る刀工があり、南北朝時代から室町時代にかけて二代あるいは三代続いたといわれる。一説に長吉は甘呂俊長の弟子と伝えるが、俊長に似た処は少なく、地刃は総じて大和風である。また越後国住の秦長義は、一説に長船長義の弟子あるいは二代と伝えられるが、作風からも銘振りからも俄かに賛し難く、むしろ越中則重に近い出来のものが存在することが指摘されている。さらに山城には平安城長吉の名が続き、室町時代の作が多く、伊勢の村正に共通する処が見られる。これらの諸工は、直接の師資相承によるというよりは、大和伝の鍛刀・焼刃の手法を地方に移植したという点において、緩やかに結ばれた一群をなしている。

作風

一派の作風は、大和伝に根ざした沸出来を基調とする。鍛えは板目に杢目あるいは流れ肌を交え、柾が交じって肌立ちごころとなるものが多く、地沸が厚くつき、地景が頻りに入る。刃文は浅いのたれ、小のたれ、あるいは直刃調を主調として小互の目を交え、頻りにほつれて喰違刃・二重刃・打のけがかかり、沸よくつき、砂流し・金筋が盛んにかかる。帽子は乱れ込んで先が尖りごころとなり、掃きかけて金筋が入るものがあり、これは俊長の特色として鑑定上の要点に挙げられる。俊長の作には飛焼き・湯走りを地に交えて激しい沸出来となるものもあり、桃川長吉は綾杉風に流れて白け、匂口の明るさを見せる。平安城長吉は片切刃造の稀なるものを遺し、秦長義は匂口やや締まりごころに小沸つく穏やかなのたれを示すなど、各工に個性を見せながらも、地沸・地景と大和系の地鉄構造によって一群として相通じている。

評価・伝承

百川派は、その出自を近江・越後に持ちながら、作風においては大和気質を顕著に示すという、地方に展開した一伝統として刀剣史上に独自の位置を占める。各工とも在銘作の現存は極めて稀少であり、一口ごとが地方刀工研究の好資料として高い資料性を有する。俊長の作は地刃の出来が優れて健全であり、覇気漲る一作と評される。桃川長吉の在銘の太刀・短刀は越後刀工の伝統を伝える数少ない遺品として珍重され、大磨上無銘ながら俊長と極められる作にも、所伝を首肯し得る優品が見られる。一派の意義は、多作や様式の革新にあるのではなく、大和の作風を地方の工房に忠実に伝えた点にあり、その質実にして沸の冴える作域は、今日なお高く評価されている。

指定

13 指定 · 3 名工数

指定の位置づけ

重み付け指定指数 0.16(指定 14 点)

流派中 上位48%

2026/6/17 時点

伝来

伝来記録のある作品 1 点

伝来の位置づけ

伝来指数 1.83(伝来 1 点)

流派中 上位96%

主要工

上位指定の希少度で順位付け

  1. 1.俊長1338-13429
    流派内 69.2%
  2. 2.長吉1345-13503
    流派内 23.1%
  3. 3.長吉1469-14871
    流派内 7.7%

現在の出品