説明

本作、備前景則の太刀は、極めて稀少な銘入りの一振りであり、生(うぶ)であるのみならず、年紀まで刻まれた資料的価値の極めて高い逸品です。古刀期の、とりわけ南北朝時代の打刀や太刀において、磨上げられていない生茎で、かつ銘と年紀が揃った作例は非常に少なく、私自身、これまで市場でこれほどの品を手にしたことはございません。 また、本作は吉井派としては異例とも言える豪壮な姿を保っております。吉井派は、健全な個体であっても優美で細身な姿を呈するのが一般的ですが、本作はその定説を覆す体配を誇ります。茎には「永徳四年八月日(1384年)」の年紀銘があり、これより四代景則の手による作であることが分かります。刃文は福岡一文字を彷彿とさせる華やかな丁子乱れに互の目を交え、これもまた一般的な吉井派の作風とは一線を画すものです。銘、年紀、保存状態、姿、そして出来映えのすべてにおいて、本作は唯一無二の存在と言えるでしょう。板目に木目が交じった地鉄もまた見事で、この刀の格調を一層高めております。 刀身には実戦の痕跡である切り込みが複数確認できます。棟(むね)には明瞭な切り込みがあり、その他にも微細なものが点在しております。さらに鎬(しのぎ)筋の切り込みに加え、刃待(はまち)付近の刃には、敵の攻撃を弾いた際に生じたと思われる凹みがございます。通常、これほど低い位置への打撃は大きな刃毀れに繋がることが多いため、このような形で残っているのは非常に興味深い点です。こうした凹みは、突きを多用する切先付近に見られるのが一般的です。製作から長い年月を経、実戦を潜り抜けてきたにもかかわらず、本作の健全さは驚くべきもので、私が見てきた現代刀の中にも、これより状態の劣るものが多々あるほどです。帽子は当時の典型である小丸に返り、切先の端までしっかりと焼きが残り、極めて良好な状態を保っております。 【寸法】 ● 長さ:63cm ● 元幅:3.1cm ● 元重:5.9mm ● 先幅:2.1cm ● 先重:4.4mm 【備前吉井派】 備前吉井派は、鎌倉時代から室町時代にかけて備前国で活動した刀工集団です。備前国を流れる吉井川の沿岸に居住したことからその名で呼ばれました。この川は良質な砂鉄の産地であり、彼らはそれを用いて高品質な刀剣を打ち出しました。吉井派の活動範囲は広く、本拠である備前のみならず、北隣の美作国、さらには出雲国の「吉井道永」「吉井忠貞」といった一派にまで及びます。備前吉井の本流には、大きく分けて景則系と長則系の二つの系統が存在します。景則系は、長船派の……

BIZEN KAGENORI TACHI 備前景則太刀

BIZEN KAGENORI TACHI 備前景則太刀

太刀

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刀工

Kagenori

流派

Yoshii

時代

Eitoku (1381-1384) ND

仕様

長さ

63 cm

元幅

3.1 cm

先幅

2.1 cm

刀剣商

土佐刀剣堂

tosatoukendo.com

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