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概要·鑑定·年紀作·指定·刀姿·銘·流派
概要鑑定年紀作指定刀姿銘流派
  1. 流派
  2. 水戸鍛冶
  3. 徳鄰

徳鄰

Mito (Swordsmiths) Tokurin

重要
巻 17, 番 290 · 剣

徳鄰

Mito (Swordsmiths) Tokurin

評価作品9点

国常陸時代Bunsei (1818–1830)時代区分江戸流派水戸鍛冶伝法Shinshinto代1st藤代Jo saku刀工大鑑380(上位39%)種別刀工コードNOR499
9重要刀剣

概要

市毛徳鄰は、その刀に「水府市毛源左衛門徳鄰」と国名を冠した俗名入りの長銘を切り、その経歴も銘の通りに諸書に明記される。安永六年(一七七七)の生まれで、水戸藩士であり、はじめ水戸藩工久米長徳に師事し、のち大坂に出て尾崎助隆の門に学んで大成した。文化六年、三十三歳の時に水戸藩の抱え鍛冶となり、天保元年には近江介を受領して後年の作はこの受領銘を帯び、天保六年(一八三五)に歿している。助隆を介してその系は大坂の津田助広の系統に連なり、二代助広が創始した濤瀾刃を、徳鄰は幕末の水戸に伝えた。この濤瀾風こそ、彼が最も好み最も得意とした作域であると諸書は記す。

彼の特徴をなす手は濤瀾の刃で、大互の目乱れが沖の波のように整然と起伏する。これを小板目のよくつんで冴えた地鉄の上に焼き、しばしば区上に直ぐの焼出しを設けてその上を濤瀾の大模様に開き、足が長く入り、匂深く、小沸が刃中に厚くつき、砂流しがかかり、匂口が明るく冴える。諸書はこの作域における成功を、華やかさによってではなく制御によって判じる。その傑出した脇指について、乱れの形がくずれることなく整然と焼かれ、沸の粒が均一でよく揃ってむらなくつくと評し、濤瀾を試みた幕末刀工の中での彼の位置を、「濤瀾乱れの作柄は、幕末期の刀工が挙って試みているが、中でも徳鄰は抜群」と記す。この作域の現存作は比較的少なく、在銘・年紀の遺例が重んじられる所以でもある。

二様の地鉄はいずれも精良で、小板目がよくつみ、杢・流れ肌を交え、地沸が細かに、時に微塵に厚くつき、地景が細かによく入って、かね冴える。最高作ではこの鍛えを一段と優れたものとし、微塵につく地沸と細かに入る地景の精良さを特筆する。刃文はいずれの作域でも同じ見どころで読まれ、匂深く、小沸が厚くつき、細かに金筋・砂流しがかかり、匂口が明るく冴える点が繰り返し挙げられる。帽子は記録上の全作を通じての常態で、直ぐに小丸に結び、時にやや深く返って先を僅かに掃きかける。姿は鎬造の刀・脇指で、身幅やや広め、重ね厚く、踏張りごころがあり、中鋒が延びる。

濤瀾の傍らに、諸書は第二・第三の作域を挙げ、彼は倣う手本によって作域を分かつ一工として捉えられる。第一は真改風の直刃仕立で、中直刃・広直刃、または直刃調に浅くのたれごころをおび、丁子・互の目・長い足が入る。諸書はこれを「同作としては比較的珍らしい真改風の作域」とし、その分これを賞して、これらの作では沸が一層厚くつきその粒が均一でよく揃い、匂口が明るく冴える点に特筆すべきものがあるとする。第三は濱部風の互の目乱れで、いずれも上手とされる。銘もまた同じ用意を示し、記録上の全作が生ぶ茎に長銘を切り、諸書はその銘文自体を年代の手掛りとして、文化頃は「水戸住」、文政頃は「水府住」と変ることから、無銘年紀の一刀を銘振りの近似によって文政二年頃と推す。

幕末の濤瀾刃の刀工が犇めく中で徳鄰を分かつのは、作域の広さではなく、その手の澄んだ整然さである。比較的現存の少ないとされる同じ脇指を、諸書は彼の典型ともし、現存する作の中でも「この作は、彼の典型といえるもの」で出来映えも傑出していると記す。彼の評価はこの制御に基づくのであって、作の多寡や借り物の類似によるのではない。多くの同時代工が濤瀾に手を伸ばしてこれを乱したのに対し、彼の波頭はその形を保ち、沸は均一に揃い、その一刀には本領が遺憾無く発揮されていると諸書は見る。江戸後期の水戸派にあって彼は上手の一人に位置し、濤瀾刃は助隆系より受けた彼の代名詞であり、精良な直刃は、その技術が一手のみのものではなかったことの証である。

徳鄰の記録は悉く重要刀剣の域にある。八口が重要刀剣に指定され、いずれも在銘・生ぶで、諸書はそのうち数口を最高作・代表作とし、地刃ともに見事とする。国宝も重要文化財もなく、美術館・大名家の所蔵も名としては記録されておらず、その存在は著名な所蔵者の連なりによってではなく、これら在銘の重要刀剣の刀・脇指によって伝わる。藤代の評価は上作、刀剣美術の評価は中上位にあり、一国を代表する名工というよりは有数の幕末の名手の位置にある。一個の収集家にとって、その作は鎌倉の名跡のように手の届かぬものではないが、世に現れることは稀で、健全な在銘・年紀の一口は、彼が我が物とした濤瀾風であれ、より珍しい真改風の直刃であれ、待つに値する。現存は比較的少なく、各々が俗名入りの全長銘を帯び、その優品は、諸書自らの尺度において「沸の粒が均一でよく揃ってむらなくつき」、彼の手の最も確かな証を示している。

鑑定

倣う作域によって三つの作風に分かれる一工。師助隆の濤瀾風(最も得意)、真改風の直刃仕立、濱部風の互の目乱れの三様を、一様の小板目・地沸の地鉄の上に焼き分ける。銘は水戸住(文化)より水府住(文政)へと変る

市毛徳鄰は江戸時代後期の水戸藩の刀工で、安永六年(一七七七)の生まれ、俗名を源左衛門という。はじめ水戸藩工久米長徳に師事し、のち大坂に出て尾崎助隆の門に学んで大成した。文化六年(一八〇九)三十三歳の時に水戸藩の抱え鍛冶となり、天保元年(一八三〇)に近江介を受領し、天保六年(一八三五)に歿している。その作風は、師助隆より継承した濤瀾風の大互の目乱れ、真改風の中直刃・広直刃の直刃仕立、そして時に濱部風の互の目乱れの三様に亙り、就中、濤瀾風を最も好み最も得意としたと諸書は記す。鍛えは小板目がよくつみ、地沸が細かに厚くつき、地景が細かに入って、かね冴える。刃文は匂深く、小沸がよくつき、金筋・砂流しかかり、匂口が明るく冴え、帽子は直ぐに小丸に結ぶ。茎は俗名入りの長銘を生ぶ茎に切り、文化頃の「水戸住」から文政頃の「水府住」へと銘文が変る。

鑑定の決め手

作品の63%

作品の75%

作品の100%

作品の100%

作風の変遷

師助隆譲りの濤瀾風(最も得意とした作域)

濤瀾風が最も好んだ作域とされる。諸書は銘文の変化(文化は水戸住、文政は水府住)を制作年代の手掛りとし、文政の作は文政二年紀の銘振りに近似するとする

諸書が最も好み最も得意としたと記す、大坂の師尾崎助隆譲りの作域。小板目がよくつみ、地沸が細かに厚くつき、地景が細かに入ってかね冴えた地鉄の上に、濤瀾がかった大互の目乱れを焼き、しばしば区上に直ぐの焼出しを設けてその上を濤瀾の大模様に開き、足が長くよく入り、匂深く、小沸が厚くつき、砂流しがかかり、匂口が明るく冴える。帽子は直ぐに小丸。乱れの形がくずれることなく整然と焼かれ、沸の粒が均一でよく揃ってむらなくつく点を、諸書はこの作域の成功の証とし、幕末に挙ってこれを試みた刀工の中でも徳鄰は抜群の技術を見せると評する。姿は鎬造で身幅やや広め、重ね厚く踏張りごころがあり、中鋒が延びる。

姿 Sugata
地鉄 Jigane
刃文 Hamon
帽子 Bōshi

真改風の直刃仕立

真改風の直刃の作域で、諸書は同作中比較的珍しい作域とし、その出来を賞する。刃文は中直刃・広直刃、または直刃調に浅くのたれごころをおび、丁子・互の目・長い足が入り、匂深く、小沸が厚くつき、細かに金筋・砂流しがかかり、匂口が明るく冴える。これらの作では、沸が一層厚くつき、その粒が均一でよく揃い、匂口が明るく冴える点を諸書は特筆する。地鉄は同じ小板目に地沸が微塵に厚くつき、地景が細かに入って精良である。帽子は直ぐに小丸にやや深く返り、先を僅かに掃きかける。

地鉄 Jigane
刃文 Hamon
帽子 Bōshi
研究

その経歴は諸記録に一貫して記される。安永六年生まれ、俗名源左衛門、水戸藩士で、はじめ藩工久米長徳に、のち大坂で尾崎助隆に学び、文化六年三十三歳で藩の抱え鍛冶となり、天保元年に近江介を受領し、天保六年に歿す。

諸書は銘文を年代判定の手掛りとする。文化頃は「水戸住市毛徳鄰作之」、文政頃は「水府住市毛徳鄰作之」と銘文が変ることから制作年代を推定でき、就中、文政二年紀の銘振りに近似する一刀は文政二年作とも推せられるとする。

年紀作

在銘年紀作が示す、確実に活動していた年代

活動期間
1812–1829推定期間:1812–1830
指定品9点のうち8点に年紀あり
18101830
  1. 1812
    文化九年Juyo session 22, item 329
  2. 1814
    文化十一年Juyo session 17, item 290
  3. 1816
    文化十三年Juyo session 34, item 123
  4. 1819
    文政二年Juyo session 24, item 442
  5. 1821
    文政四年Juyo session 17, item 291
    文政四年Juyo session 19, item 357
  6. 1824
    文政七年Juyo session 41, item 160
  7. 1829
    文政十二年Juyo session 50, item 173

指定

国宝—
重要文化財—
重要美術品—
御物—
特別重要刀剣—
重要刀剣9

名工ランク

0.07 (指定作品9点)

刀工の上位20%

刀姿

評価作品9点の分布

銘

評価作品9点の銘の種類

販売中

水戸鍛冶派

水戸鍛冶派の他の刀工

  1. 1.徳勝Tokukatsu2 販売中5指定
  2. 2.慶篤Yoshiatsu1指定
  3. 3.徳隣Tokurin1 販売中2指定

徳鄰

徳鄰(Tokurin)は、常陸の水戸鍛冶派の刀工です。

Bunsei (1818-1830)に活動しました。

作風はShinshintoに属します。

徳鄰の作品には、重要9点が指定されています。