延吉

Senjuin Nobuyoshi

評価作品29点

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特重巻 18, 番 12 · 太刀

概要

延吉は龍門一派のただ一人の著名な名であり、鎌倉時代後期から南北朝期にかけて活躍した大和の刀工である。説明書はその出自についてほぼ一様で、「延吉は千手院派の流れを汲む鍛冶と伝え」、吉野から宇陀へ抜ける吉野郡龍門荘に在住したことから龍門延吉と通称されている。一派には他にも刀工があり、諸書に長吉・吉行などの名が挙がるが、ひとり延吉だけが著名で、ある重要刀剣の説明が記すように「竜門といえば延吉を指すほどである」。年紀作は伝わらず、剣書はその年代を正応あるいは文保頃とする。

本工を定めるのは一様の手ではなく二様であり、説明書はほぼ毎葉にその区別を引く。一つは「賑やかな乱れ刃や直刃調に丁子足の入った刃文を焼き」、地に映りが立って備前気質のあらわれた手であり、他は直刃にほつれて「映りが立たず大和色が濃厚に示された」、渋く穏やかな手である。最上の在銘太刀、幅広の体配で堀子爵家に伝わり犬養木堂が愛蔵した一口は、その華やかな手の極みで、広直刃調に浅くのたれ、互の目・丁子・尖り刃・角がかる刃を交え、足・葉が入り、匂口しまりごころに小沸つき、二重刃・打のけを交え、金筋・細かな砂流しがかかる。説明書はこれを「同作中屈指の優品」と評する。

地鉄は二様を貫く常である。板目がよく錬れて流れ柾がかり、地沸を微塵に厚くつけ、地景が頻りに入り、最も大和らしい作では刃寄りに柾が強まる。その地の上で映りこそ変数であって、備前寄りの作には鮮明な乱れ映り、時に淡い沸映りが立ち、大和の作には全く立たない。帽子は直ぐに掃きかけて多く焼詰め、時に小丸に短く返り、記録のほぼ全体を通じて匂口は明るく冴える。賑やかな手にあっても刃文は丁子・互の目を交えた直刃調を主とし、奔放な丁子乱れとはならず、ほつれ・喰違刃を交えた明るい直刃が二様を結ぶ大和の根である。

銘もまた作域のごとく分かれる。「延」の字の旁の切り方に二様が見られ、正の略体のようにきる楷書風のものと、氏のようにきる草書風のものとがあって、説明書は後世これを「前者を正延吉・後者を氏延吉と呼んでいる」と記す。区別は単なる書風にとどまらず、前者の銘の方に鍛えのよく詰まるものが見られ、後者は肌立つ傾向のものが多いとされ、ある在銘太刀は両者の移行期のものと見られる。在銘作は大振りの二字銘を切り、僅かな数を残すのみであるから、真正の在銘延吉は出会うこと貴重な一口である。

本工を位置づけるのは、まさにこの二伝の間の立場である。明るい乱れ映りと丁子足はその備前寄りの手を素朴な千手院・当麻の直刃から分かち、直刃ほつれの渋い手は彼を大和伝の内に留める。説明書は、その小振り銘の作が古来備前古一文字派の作と混同されてきたと記すが、その混同こそ彼の立つ位置を測るものである。記録の大半を占める無銘の刀については、鎬の高い造込み、流れて柾がかった鍛え、明るい直刃のみからも極めが首肯され、ある一刀を「地刃に龍門延吉の特色と美点を十二分に現わしており」と称える。

収集の観点では、一口の大名作に担われた稀な大和初期の名である。藤代の極めは上々作。後水尾天皇御料と伝える在銘の太刀が国宝で、説明書は「この名作があることによって延吉の名が高い」と率直に記す。さらに在銘の太刀二口が重要文化財で、うち一口は山口の篠目山神社に伝わる。これらは神社・機関に伝わる文化財であって、市場に現れるものではない。彼の作は来歴の確かな品で、特別重要の太刀には堀子爵家と犬養毅、重要刀剣には仙台伊達家・上杉家の伝来がある。この秘蔵の級を別とすれば、記録は特別重要刀剣一口、重要刀剣および戦前の重要美術品を通じ、特別重要・重要の級を合わせて二十六口ほどで、その多くは伝わりて商われぬものである。在銘作が世に出ることは稀、優れた無銘極めも時折であって、私蔵の龍門延吉は収集家にとって注目すべき一口、大和と備前が一人の吉野の手に出会った証である。

歴史的重要度

延吉の位置づけを、日本刀全体および伝法・時代・時期ごとに示します。各区分(随一・屈指・有数・著名)は、NBTHK および文化庁による指定に加え、三作や名物帳などの歴史的栄誉を加味したものです。

随一
随一
屈指
屈指
有数
有数
著名
著名

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指定

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重要美術品1
御物—
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