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概要·鑑定·指定·伝来·刀姿·銘·流派
概要鑑定指定伝来刀姿銘流派
  1. 流派
  2. 石堂
  3. 大坂石堂
  4. 長幸

Ishido Nagayuki

長幸

特重
巻 23, 番 36 · 刀

Ishido Nagayuki

長幸

評価作品10点

国摂津時代Enpo (1673–1681)時代区分江戸流派石堂>大坂石堂伝法Shinto藤代Jo-jo saku刀工大鑑750(上位15%)種別刀工コードNAG562
2特別重要刀剣8重要刀剣

概要

多々良長幸と長銘し、裏に以南蛮鉄鍛之と添銘した貞享四年紀の一刀は、この大坂の工を知る上の典型の作である。身幅広く豪壮な体配に、小板目のつんだ地に乱れ映りが立ち、新刀の世に古備前一文字の丁子刃を蘇らせた作である。説明書は、長幸を本国紀州、通称四郎兵衛と称し、紀州石堂派の河内守康永の門人となり、その系とともに大坂に移って大坂石堂の名を得、十七世紀後半の天和・貞享の頃に活躍した工と記す。これを「師に優る技量の持主」とし、新刀備前伝の作家として「新刀の備前伝中の第一人者」と評する。年紀作は極めて稀で、僅かに天和・貞享のものが見られるのみであるから、年紀の一口は彼の活躍期を知る貴重な資料として扱われる。

長幸の名の由来となる手は一文字狙いで、説明書はこれを石堂派の御家芸、「石堂派本来の御家芸ともいうべき一文字」とする。幅広で堂々とした刀に、大丁子に小丁子・尖り刃を交え、足・葉がさかんに入り、処々重花丁子風となった華やかな丁子乱れを焼く。匂口は締まって明るく、小沸つき、小さな飛焼を交え、長寸の刀にあっても堂々とした姿に負けることなく丁子乱れを壮麗に焼上げる。その対極の作域は末備前に範をとるもので、腰のひらいた互の目を主調に、複式風の刃を交える――古い説明にいう「いわゆる蟹爪風の複式互の目」である。説明書はこの作域を主に与三左衛門祐定に範をとったものと読み、丁子主調の一口は末備前中最も丁子の目立つ勝光あたりに倣ったものかとする。

両様を支えるのはその地鉄である。長幸は小板目に時に杢、鎬寄りには流れ肌を交えてよくつみ、地沸が微塵に厚くつき、地景細かに入る鍛えの上に、乱れ映りをはっきりと立たせる。この備前写しの映りは大坂物には珍しく、説明書が「時代を古く見あやまり易い」と注意する見どころであり、鎬地の柾と比較的に帽子の拙さこそ新刀の手と見分ける点とする。刃中には足・葉が入り、小沸・細かな砂流しがかかり、処々小さな金筋や湯走り風を交え、匂口は締まりごころに明るく冴える。帽子は乱れ込んで先尖り、深く或いは長く返る。これは説明書が同作を通しての彼の特色とする態で、範とする一文字・末備前から彼の写しを分つ個性である。

二様は時代の別ではなく同じ手の選びであり、説明書はこれを一工の二様として描く。末備前の側では、刃文のみならず寸の詰まって先反りのつく末備前の体配までを写し、姿までも忠実に写すとされ、大鋒で金象嵌截断銘をもつ幅広の一口は与三左衛門祐定をその姿まで写したものと読まれる。一文字の側では、その丁子を備前一文字への私淑とし、軽く負う流派の遺産ではなく理想への私淑と読む。現存品は豪壮な幅広の刀に集中し、長銘に切り、ままに以南蛮鉄・以千草鉄の添銘を伴う。千草鉄は播州の鉄で、説明書は彼が大坂の鉄問屋を介して入手したものと推し、当時の鉄流通の一こまが垣間見られるとする。貞享三年紀で以千草鉄鍛之と銘した大小揃も伝わり、年紀の少ない同作中にあって極めて稀で、特別の注文によるものと思われる。

紀州・大坂・江戸・福岡に分れた石堂一門の中で長幸を分つのは、その備前写しの完璧さであり、説明書は彼を「新刀中備前伝作家の第一人者」と特記する。石堂派は備前一文字の伝統を新刀の地に移したもので丁子刃はその御家芸であったが、長幸は地鉄・刃文・姿を併せて写し、乱れ映りを丁子の華やかさに劣らず立たせた手である。その一文字狙いの優品は「長幸の本領が遺憾なく発揮された一作」と評され、その祐定写しの佳作は姿まで忠実とされる。乱れ込んで先の尖り深く返る帽子と、締まって明るい匂口は終始彼自身のもので、いずれの備前の範を求めるときも変わらぬ底音をなす。

収集の観点では、長幸は藤代の極めを上々作とし、その作に国宝・重要文化財はない。指定の記録は特別重要刀剣の刀二口と一群の重要刀剣に及び、ここに数える中では特別重要刀剣・重要刀剣の指定は十口に上る。来歴は僅かながら確かで、記録される名は谷干城――明治の軍人で愛刀家でもあった将軍で、その蒐蔵には彼の刀が一口ならず、朱書と旧蔵として記される。指定の同作の多くは伝来して市場に出ることは少なく、豪壮な年紀作は資料としての重みもあって研究の対象とされるため、その一口に巡り会うことは稀で、現れれば私蔵の収集家にとって一つの里程標となる。説明書はその優品を「同工屈指の名品」とする。紀州の一工が一文字と祐定を江戸初期の大坂の刀に伝えた、新刀備前写しの極点をなす作である。

鑑定

一工の手の二様、説明書自身のいう二様:石堂派の御家芸たる大丁子の丁子刃で鎌倉一文字を狙った華やかな一文字狙いと、与三左衛門祐定に範をとった腰のひらいた複式互の目の末備前狙いとがあり、いずれも乱れ映りの立つ小板目の地に焼かれ、乱れ込んで先の尖った深く返る帽子で結ばれる

長幸は、新刀期に古備前一文字の丁子刃を最も見事に蘇らせた大坂石堂の工で、多々良長幸と長銘し、通称を四郎兵衛と称した。説明書は、本国を紀州といい、紀州石堂派の河内守康永の門に学び、紀州より大坂に移住して大坂石堂の名を得、天和・貞享の頃に活躍した、師に優る技量の持主と記す。その作風は二様あるとし、一つは鎌倉時代の一文字を狙ったもので、石堂派本来の御家芸ともいうべき大丁子に小丁子・尖り刃を交え、足・葉などがよく入った華やかな作柄である。他は末備前に範をとったもので、腰のひらいた互の目を主調に複式風の刃を交えた作域で、与三左衛門祐定に範をとったと想われ、稀には丁子の目立つ勝光あたりに倣ったものもある。両様を通じて、小板目肌がつんで地沸が微塵につき、乱れ映りの立つ鍛えは、大坂物には珍しい備前写しの映りで、刃文は匂口が締まって明るく冴え、小沸つき、細かに砂流しがかかる。乱れ込んで先の尖った帽子が深く長く返る態は、説明書が同作を通しての彼の特色とするところで、天和・貞享の年紀作は稀で、ままに以南蛮鉄・以千草鉄の添銘が見られる。

鑑定の決め手

作風の変遷

一文字狙い:石堂の御家芸たる丁子

第一の作域は長幸の名の由来となるもので、説明書はこれを鎌倉時代の一文字を狙った石堂派本来の御家芸とする。身幅広く豪壮な刀に、大丁子に小丁子・尖り刃を交え、足・葉がさかんに入り、処々重花丁子風となり、匂口が締まって明るく冴え、小沸のつく華やかな丁子乱れを焼く。その下の地は小板目に地沸が微塵につき、乱れ映りの立つ鍛えで、一文字の趣を支える備前写しの映りである。説明書はこの種の優品をその円熟期の作とし、幅広・長寸の刀にあっても堂々とした姿に負けることなく丁子乱れを壮麗に焼上げるとする。年紀の稀な中の貞享四年紀の一刀はこの作域を示し、以南蛮鉄の添銘を伴い、彼の円熟期の作とされる。

姿 Sugata
地鉄 Jigane
刃文 Hamon
帽子 Bōshi

末備前狙い:腰のひらいた複式互の目

第二の作域は末備前に範をとるもので、説明書はこれを主に与三左衛門祐定に範をとったものと読む。腰のひらいた互の目を主調に、古い説明にいわゆる蟹爪風の複式風の刃を交え、丁子・小互の目・尖り刃を交え、足・葉が入り、地には地沸と乱れ映りが立ち、匂口は締まりごころに小沸がつく。説明書は、この種の作で長幸が刃文のみならず末備前の体配、寸の詰まって先反りのつく姿までを忠実に写すとし、姿までも写していることが窺えるとする。或る一口は祐定の常法を離れて丁子の目立つ勝光あたりに倣ったものとされる。彼は新刀中備前伝作家の第一人者といわれ、説明書は巧みな映りゆえに時代を古く見あやまり易く、鎬地の柾と比較的に帽子の拙さこそ注意すべき見どころとする。

姿 Sugata
地鉄 Jigane
刃文 Hamon
帽子 Bōshi
研究

説明書は、長幸の作風が二様、すなわち石堂派の御家芸たる一文字狙いと与三左衛門祐定に範をとった末備前狙いとに分れ、後者では寸の詰まって先反りのつく姿まで末備前を忠実に写すとする。彼を新刀備前伝作家の第一人者とし、巧みな乱れ映りゆえに時代を古く見あやまり易く、鎬地の柾と比較的に帽子の拙さこそ見分けの見どころとする。

指定

国宝—
重要文化財—
重要美術品—
御物—
特別重要刀剣2
重要刀剣8

名工ランク

0.07 (指定作品10点)

刀工の上位20%

伝来

伝来記録2件 の鑑定作品における Nagayuki

伝来ランク

名家所蔵0点、伝来記録2件

刀工の上位48%

素点:2.00 / 10

刀姿

評価作品10点の分布

銘

評価作品10点の銘の種類

販売中

Osaka Ishido派

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